前回から水中でTG-6を使ってカッコイイムービーを簡単に撮る手法を解説している。
大型なデジタル一眼でなくても、この小さなコンパクト機のTG-6でも高画質なムービーを撮影することができる。最低限のアクセサリーを使って、ビギナーでも簡単にムービー撮影を楽しむのが今回のコンセプト。今回はマクロ&超高倍率マクロのムービー撮影について解説する。
前回のパートでTG-6の水中ムービーが素晴らしく綺麗だっていうことは理解していただけたと思う。水中でのマクロムービー撮影は、基本的にライトを使っての撮影になるが、真っ暗でなければライト無しでもマクロムービーを撮影することは可能だ。他のカメラでは難しいが、OLYMPUSのTG-6には最新の水中ホワイトバランスが搭載している。そして、感度も自動調整なのである程度の明るさがあれば、発色や画質の低下が許されるとすればば意外に綺麗なムービーになる。もちろん、ライトを使って撮影すれば、発色が良くなり、オートフォーカスの精度も上がる。ライトにも様々なものがあり、それぞれ特徴がある。高価な物は色温度や演色性、カラーバランスなど、ムービー撮影に特化したチューニングが施され水中という特殊な環境でも色鮮やかな映像を残すことが可能だ。プロのカメラマン達はそれを使って撮影している。一世代前の水中ライトでも、無いに越した事は無いので使って欲しい。
ムービー撮影の中でも、マクロ撮影、そして超高倍率マクロ撮影となると撮影時にカメラをしっかりと固定して撮影することが、絶対的な条件になる。水中で使える三脚もあるが、いつも持っていくわけにもいかないので、左手の使い方を工夫して撮影するテクニックを身につける。左手を三脚として扱い、高さを調整したり、左手で何かにつかまりその上にカメラを置くといった工夫をする。とにかく録画中はカメラを微動させない事。だが、ウエイトを多く持っていく事はお勧めできない。適正ウエイトに調整して、撮影時にBCのエアーを抜いて撮影する。撮影中にフィンを動かしていると「巻き上げ」が起こり浮遊物が舞うので注意が必要だ。
実際の撮影では、自然光ワイド撮影と同様露出補正を±0.0にセットする。モニターを見ながら適切な大きさになるまでしっかり被写体に寄る。被写体との距離があればあるほどノイズが増える。撮影前のモニターの見え方と実際の撮影する画面の大きさが変わるので一度録画ボタンを押して画角が適正かチェックする事も大切なポイントだ。撮影は短すぎず長すぎず20秒程度。TG-6は録画中、撮影時間のカウンターが画面に表示されないので、心の中で数える。シャッターレバーを一度押し、ピントが合ったことを確認してから録画ボタンを押すことを忘れずに。
TG-6の録画中のオートフォーカスはS-AFではなくC-AFで制御される。静止画時のC-AFよりフォーカスの追従を遅く制御しているのでギクシャクしたフォーカスにはならないが、AFターゲット上にある被写体を常に探してフォーカスを合わせている。画面の端に被写体を置いて録画したい場合は、AFターゲット移動させてからピントを合わせ録画をスタートさせる。マニュアルフォーカスでピントを固定する手法も使う事もできる。
それでは、撮影してみよう!
簡単な事から始めてみよう。難しく考えず録画ボタンを押す。暗く映ったら露出補正をプラス側に調整する。AE(自動露出制御)が効いているので明るすぎになる事は無いはず。明るすぎたら、露出補正をマイナス側に調整する。数回やって調整ができたら本番の20秒数える録画に。撮ったムービーは、スマートホンに転送して、SNSにアップロードしたり、友人に送ったりとダイビングの楽しみがもう一つ増える事間違いなし。
通常のマクロムービーなら水中マクロモードにセットする。
被写体が小さい場合、近づいて行き寄り過ぎてピントが合わなくなって来たら、水中顕微鏡モードに切り替える。水中顕微鏡モードならレンズ直前まで近づくことが可能になるが、距離が遠くなるとピントが合わなくなる。
その場合は、水中マクロモードへ切り替える。魚は水中マクロ、エビ、カニ、ウミウシ、などは水中顕微鏡と考えるとスムーズだ。
ホワイトバランス
通常は水中ホワイトバランス標準を使う。
自然光のマクロムービーや水中撮影専用ライトでは無い普通の小さい水中ライトの場合はディープダイビングを選択する。水中撮影用ライトで撮影中、白い砂がピンクになる場合は浅瀬このように使い分けると良い。
左手の使い方
通常は左手をカメラの下からホールドするように使うが、砂の上や岩の上にカメラを置く場合は、ダイレクトにカメラを接地するのでは無く、生物がいないか確認して左手の指数本で支え、その左手の上にカメラを置く。
ウォールに付いている被写体の撮影などでは、左手でウォールの一部に置く、掴む処してその左手の上にカメラを置く。
要するに、録画中に被写体とカメラの距離を数ミリも変えないようにするのが目的。右手のみでの撮影は、マクロムービーの場合ありえない。
水中ライト無し自然光水中マクロムービー
清水 淳 Profile