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コーラル・ウォッチ(サンゴ礁のモニター)
ダイビングで貢献できます。サンゴ礁モニタリングに参加を。
気候変動が現実に起きているということは、科学の世界ではほぼ一致した見解です。そしてそれには、人間の活動が深く関係しています。過去1世紀の間に、地球の表面温度は華氏1.4度(摂氏0.8度)上昇したと推定されています。2005年は、観測史上最も暑い年になりました。
プロジェクトAWARE財団や海洋資源の管理者、科学者、熱心なダイビング・プロフェッショナルやダイバーが特に懸念しているのは、気候変動がサンゴ礁に与える影響、つまり「サンゴの白化」というプロセスです。
最近の研究では、世界のサンゴ礁の半分以上が、25年以内に死滅する恐れがあることが示されています。原因は人間の活動と気候変動です。世界のサンゴ礁の30パーセントはすでに死滅し、後の30パーセントも深刻なダメージを受けていると研究者は指摘しています。
コーラルウォッチとは
プロジェクトAWARE財団は、オーストラリアのクイーンズランド大学から生まれた非営利研究組織であるコーラルウォッチと手を組み、ダイバーやスノーケラーにサンゴの白化現象のモニタリングと健康状態の評価に参加してもらう体制をつくりました。
コーラルウォッチの方法を採用することにより、サンゴ礁のモニタリングが簡単に行えます。コーラルウォッチのチャートは、白化と回復のさまざまな段階を示す色のサンプルを使います。サンゴの色をチャートの色に照らし合わせ、対応する色のコードとサンゴのタイプをデータシートに記録するだけです。モニタリング活動で得られたデータをオンラインで入力してもらい、科学者が分析し、サンゴの白化と回復のパターンや、白化がどれくらい深刻でどれくらい続くのか、といった疑問に答えます。
あなたも参加を
ダイビング・プロフェッショナル、資源管理者の方々は?
- ツアー先または地元のサンゴ礁を定期的にモニタリングするために、まずはプロジェクトAWAREでオペレーター登録してください。
- 次に活動する方の人数分のコーラルウォッチ・チャート(日本語版)をご用意下さい。ダイバー専用に考案されたプロジェクトAWAREのコーラルウォッチのモニタリング活動を行うのに役立つ資料をプロジェクトAWAREのHPからダウンロードできます。また、PADIプロメンバー用教材であるAWAREサンゴの保護(CD-ROM)も有効にご活用頂けます。
- サンゴ礁の観察地点を選び、ダイバーのチームを組織し、定期的にサンゴ礁のモニタリングを行ってください。
- コーラルウォッチのデータをオンラインで入力します。送られたデータは、分析の上、オンラインで公開します。これを利用して、地元のサンゴ礁の状態の経時的変化を見たり、世界の他の場所と比較したりすることができます。ウェブからの入力がうまくいかない場合は、こちらのページから用紙をプリントしてファクスしてください。
ダイバー、スノーケラー、エコツーリストの方々は?
- プロジェクトAWAREコーラルウォッチに登録している最寄りのダイビング・オペレーターを探してください。オペレーターに連絡を取り、現地でモニタリング活動に参加したい旨、申し出てください。 コーラルウォッチ・チャートは以下のオペレーターからご購入いただけます。
オペレーターリストはこちらをクリックしてください。
世界のオペレーターリストはこちらをクリックしてください。(英語)
- 近くに登録されたオペレーターが見つからない場合、コーラルウォッチプログラムに関してのご質問はプロジェクトAWAREまでお問合せ下さい。
なぜサンゴ礁をモニタリングするのですか?
世界的な規模でのサンゴ礁の白化現象の傾向は、ほとんど分かっていません。白化と回復のパターンや、白化現象の深刻さの度合いや期間について、答えを出すべき問題が山積しています。コーラルウォッチのボランティアから提供されたデータは、このような多くの問題の解明に役立てられます。
健康なサンゴは、自然な状態でもわずかに色が変動します。ボランティアのダイバーやスノーケラーがその変化を測定していれば、通常の範囲を超える変化が起きたときに直ちに異常を把握することができます。また、多くの方々のご支援によって、白化現象が起きたときだけではなく、一年を通してサンゴの健康状態を監視することが可能になり、サンゴの健康に影響を与える要因を特定することにも役立ちます。
*気候変動とは?
地球はガスの層で覆われているおかげで、地表は暖かく保たれ、生命を維持することができます。このガス層は、現在濃度が上昇しています。その主たる原因は、化石燃料の燃焼による温室効果ガスの放出と森林破壊です。ガス層の濃度が上がるほど、その下に多くの熱が蓄えられ、その結果気候が変化します。地球表面の70パーセント近くを占める海洋は、世界の気候に決定的な影響を及ぼすだけでなく、最も多様性に富む重要な生態系をはぐくんでいます。さらに、今後100年の間に沿岸部や海洋の生態系は気候変動によってますます大きな危機にさらされることも、昨今の研究が示しています。この傾向が続けば、地球の温度は2100年までに華氏2.5〜10.4度(摂氏1.4〜5.8度)上昇する可能性があります。
あなたにできることは?
今後、何らかの気候変動が起きることは確実です。今日、ガスの排出が止まったとしても、すでに放出されたガスが将来に影響を与えます。つまり、変化がさらに進むのを阻止するために、あらゆる手段を講じなければならないということです。しかし希望はあります。私たちの日常生活も気候変動の一因なので、個人のレベルで、またダイバーとして、この問題に立ち向かう方法がいくつもあるのです。以下に、簡単にできることを挙げてみましょう。
- 必要がないときは照明や電気器具のスイッチを切る。
- 省エネタイプの機器を選ぶ。
- 洗濯物は乾燥機を使わず、屋外に干す。
- 調理中は鍋のふたを使う(ふたをした方が早く温度が上がります)。
- 省エネ型の電球を使い、リサイクルする。
- 短い距離は歩くか、自転車を使う。
- 充電式電池を使う。
- 地元の政治家に、温暖化への懸念を訴える。
- 気候変動の問題について学び、友人や家族に情報を伝える。
- サンゴのモニタリング活動に参加して意識を高め、データ収集に協力する。
気候変動が海洋生態系に与える影響に関する情報は、国連環境計画―世界自然保全モニタリングセンター、生物多様性と気候変動プログラム(UNEP World Conservation Monitoring Centre's Biodiversity and Climate Change Programme)、または気候変動コミュニケーション・イニシアティブ(Climate Change Communication Initiative)のウェブサイトで入手できます。
**サンゴの白化
海水温度が上昇するとサンゴの白化現象の原因になります。白化現象とは、サンゴの組織の中に生息しサンゴにエネルギーを提供している共生藻類(褐虫藻)が消失するプロセスです。そのためサンゴの組織が透明になり、その下の骨格が白く透けて見えるようになります。サンゴを死滅させる恐れのあるこのプロセスが起きると、サンゴは「漂白」されたように見えます。
サンゴが短期間白化した後、ゆっくりと回復することはありますが、長期間にわたって高温が続くと、多くの場合サンゴは死んでしまいます。また、白化したサンゴに海水の汚染や過剰な漁業、病気などのストレスが加わると、一層影響を受けやすくなり、その結果死滅することが多くなります。白化の影響は中程度から重度まで幅がありますが、過去数十年の間に白化現象は急激に深刻さを増してきているというのが、専門家の一致した意見です。今後はさらに発生頻度が高まると予想されています。
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