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魚観察テクニック

第1回 メバルとカサゴ

皆さん、こんにちは。
PADIジャパン/大阪オフィスの西川と申します。
実は私、大のサカナ好きでして。
どちらかというと、レア物よりも、どこにでもいる地味なサカナをディープに観察するスタイルです。
ということで、今回から「サカナ観察テクニック」ということで、コラムを連載させていただくことになりました。
しかし、私もPADIインストラクターのひとりですので、単に楽しい魚観察というだけでなく、サカナの観察とダイビング・スキルを結びつけてお話をしたいと思います。
最初に思いつくのは、やっぱり中性浮力関係スキル。
いきなりこのネタを使ってしまったら残りどうすんのっ?と思いつつ、今回は浮力関係スキルでいってみましょう!

文:西川 守(PADIジャパン/大阪オフィス)   イラスト:ともなが たろ

メバル 泳ぎ方と捕食体勢の関係
さて、中性浮力といえばホバリングです。
よくホバリングしているサカナとくれば、やはりメバルですね。
今回はメバルと近い仲間で、同じエリアでよく見かけるカサゴと比較しながら、少し特徴をおさらいしましょう。
メバルの名前の由来は、漢字では「目張」と書くように、目が大きく張っていることからきており、とても視力のいいサカナです。
そしていつも上を向いてホバリングしていて、上方を流れてくる小さなエサに下から襲いかかります。
つまり、メバルにとってホバリングは捕食体勢なのですね。
それに比べてカサゴは水底に接地していることが多く、カモフラージュして近づいてきた獲物をひと飲みで捕食します。
この捕食の方法の違いは口の形態にも現れています。
メバルは下アゴが、カサゴは上アゴがそれぞれ突き出ています。

カサゴ では、水底にいるカサゴは中性浮力がとれないのでしょうか。
答えはNoです。

カサゴにもメバルと同じように体内にウキブクロがあって、中性浮力はきちんととれます。
オーバーハングした壁にも平気で張り付いていたりもします。
やろうと思えばホバリングも上手ですが、周囲を平面的に認識しているようで、ホバリングはあまりお好きではないようです。
ちなみに、サカナの仲間でもウキブクロを持たないマイナス浮力のサカナもいます。
彼らの泳ぎ方は浮力コントロールが苦手なダイバーそっくり。
メバルやカサゴと同居しているサカナの中では、アイナメやヒラメがそうですね。

というわけで、形態模写ではないですが、見るサカナのマネをしながら・・・というのはどうでしょうか。
メバルをじっくり観察するならホバリングで、カサゴなら中性浮力をとったうえで、フィンの先端(しかも一部分だけ)や指をちょこんとつくなど、最小限のポイントだけを接地させて観察してみるのも浮力関連のスキルを向上させる機会のひとつです。

でも、マイナス浮力でアイナメを観察するのはスキルアップにはつながらないのでNGですよ・・・

では、メバルやカサゴを1ダイブで観察するには、観察ネタを知っておく必要があります。
楽しめそうなネタをご紹介しますね。



メバルとカサゴの生態
メバルは岩礁帯ならどこにでもいますが、捕食スタンバイでホバリングしている個体はゆっくりとした流れが岩などにぶつかるような場所でよく群れています。
これは、プランクトンフィーダーのサカナ全般を探すときの共通のコツです。
カサゴは先ほど平面的に周囲を認識していると言いましたが、個体によっては縄張りがあるようです。
彼らにとっては個体の大きさは絶対的なもののようで、にらみ合っている状態のカサゴを大きな個体とはさみうちにするようにすれば、マスクがあたりそうなくらいまで近づけることがあります。
そうかと思えば、重なり合うように密集していることもあります。

うっかり八兵衛のサカナ版“ウッカリカサゴ”?
いえいえ、冗談ではなく本当にこういうサカナがいるのです

見分けの課題としてはカサゴのほうがとっつきやすく、最近人気なのでカサゴから紹介します。

カサゴにはソックリさんがいて、その和名も「ウッカリカサゴ」と言います。
これは、うっかりしているとホンモノのカサゴと間違えるくらいのソックリ具合からきているそうです。
1978年には新種記載されていたのですが、最近までは沖合いの深場にいる大型のものは全部「ウッカリカサゴ」で、沿岸部にいる小型のものは全部「カサゴ」という状態でした(だったら、ウッカリカサゴの小型のものはどこにいるの?)
1999年の研究発表でやっと斑紋の違いが明らかになり、側線付近に白斑があってその白斑に濃い縁取りがあればウッカリカサゴ、白斑がないか、あっても縁取りがなければカサゴというように、きちんと見分けがつくようになりました。
当時、このことは日本各地のサカナ好きダイバーにはたまらないテーマだったようで、あちらこちらからウッカリカサゴの観察例が聞かれました。
ポイントによっては、いままでカサゴだと思われていたサカナが実はほとんどウッカリカサゴだったところもあったようです。
私もここ何年かはカサゴを見れば必ず「カサゴ」なのか「ウッカリカサゴ」なのかを見分けるようにしてきましたが、沖合いがすぐ100mくらいまで深くなっているポイントほど「ウッカリカサゴ」率が高いようです。
斑紋の例は、PADIのホームページ「身近なサカナと遊ぼう」コーナーに掲載されていますので、ぜひ参考にご覧ください。
グループで1匹でも「ウッカリカサゴ」を発見できるととても盛り上がります。もし見つけたらカメラで斑紋を撮影しておきましょう(おっと、撮影には中性浮力がやはり必須ですね!)。

インストラクター・マニュアル
こちらはカサゴです。
斑紋の違いを右のウッカリカサゴと見比べてみましょう。
ウッカリカサゴ
こちらはウッカリカサゴの斑紋。
ちなみにウッカリカサゴの成魚は深度100m前後に生息するためダイバーは出会えません(残念!)

メバルの見分け方
ウッカリメバル・・・はいません

メバルのほうも、何と2002年に3種類に分類され、2008年には和名が付けられました。
これは3種に生殖的隔離があり、そっくりでも完全に別種ということです。
標本があれば胸ビレの軟条数で区別できますが、もうひとつの決め手は体色です。
赤、黒、茶とそれぞれアカメバル、クロメバル、シロメバルと命名されました。
よく市場でクロメバルとして扱われていたメバルはほとんどシロメバルで、ただいまちょっと混乱ぎみです。

これは死後の体色に由来していて、我々ダイバーが水中で分類(予想?)を楽しむなら、赤=アカメバル、青(背中が青い!)=クロメバル、茶褐色=シロメバルと表現したほうがわかりやすいようです。
でも、体色だけで見分けるのははっきりいってカサゴの斑紋よりもずっと手ごわい課題で、PADIのウェブサイトでも投稿写真がまだ豊富ではありません。
ということは、ホームゲレンデ的な海を決め、テーマをもって、長く潜り通うダイバーにおススメです。
アカメバルの決め手は胸ビレの色が黄色がかっていたり、クロメバルは南方系で臆病だったりと、それぞれの特徴や分布も少しずつわかりつつあります。クロメバルの背中は感動的に青いですよ!
興味のある方はお馴染みのPADIショップのインストラクターに尋ねてみてください。

ログ付けも楽しくなります
いかがでしたか?
メバルとカサゴ、どこにでもいていつも見かけるような地味なサカナですが、奥が深く、観察に夢中になっているうちに、きっと中性浮力もうまくなっているでしょう。
ログ付けするときの情報も、きっと変わってきてより楽しくなるはずです。
ぜひ、次回のダイビングではお試しあれ。




西川 守(にしかわ まもる)

PADIジャパン/大阪オフィスのスタッフ。
とにかく魚が大好きで、いつもダイバー、釣師、魚屋さん、料理人のそれぞれの視点で魚を観察できる。
おかげで、いわゆるレアものより普通の温帯にいる魚が得意。
大の魚好きなことが高じて、オリジナルのPADIスペシャルティ「サカナとの遊び方SP」を作ってしまう。
これまでに、白崎海洋公園、串本、越前、牟岐、大分、佐世保、上五島で、この「サカナとの遊び方SP」のイベントを開催。
TVチャンピオン(テレビ東京系/現在は放送を終了)でお刺身を食べて魚種を当てるさかなクンを見て感動するが、いつの間にかそれが自分の得意技にもなってしまう。
「生まれ変わったら伊豆大島の波浮港の水底で、つぶらな緑色のひとみで 仲間とひしめき合って水面を見上げているハオコゼになりたい」と常々思っている。


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