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魚観察テクニック

第4回 マダイ

日本人にとって、ある意味一番珍しくないサカナ、マダイ。
でも、よく知ると誰だって夢中になって観察できること、間違いありません。

PADIジャパン/大阪オフィスの西川です。
ここまで浮力スキル、撮影テクニック、ナビゲーションのテクニックとお話ししてきましたが、今回はいよいよフィッシュ・ウォッチングの楽しみ方を考えてみたいと思います。
水中ガイドにレア物や大物を紹介されて楽しむテクニックと、ダイバー自分自身でお目当てのサカナを発見して楽しむスキルの両方を身につけることが必要ですね。

文:西川 守(PADIジャパン/大阪オフィス)   イラスト:ともなが たろ

自分で見つける喜び
皆さんがダイビング・スポットに訪れたとき、現地ダイビング・サービスのガイドもしくは引率してくれた担当のインストラクターは、そのスポットに通じた得意な要素を個々に持っているはずです。
例えば、そのスポット特有の地形、そのスポットでのサカナの生態、その季節に応じたサカナたちの行動などですね。

私も、家族で行くファンダイブでは、私自身が昔よくガイドしていたスポットであっても、現地の現役ガイドさんに案内してもらっています。そのスポットは自分自身も知っていることながら、やはり現役のガイドさんはスゴイと感心してしまいます。
特にサカナ好きなガイドさんのマクロ技は驚くばかりで、質の高いマジックを見せられているようです。
私は今でも20年前の和歌山県・串本には、ジョーフィッシュなどは生息していなかったと信じています(お前に見る目がなかったんや・・というお声が外野から聞こえてきそうですが・・)。

一方、立場を換えて、皆さんに講習を実施するインストラクターとしては、ダイバーの方々にバディ同士でダイビングしながらお目当てのサカナを自分たちで発見する楽しみや感動も味わっていただきたいと思います。
自分で見つけるという楽しみは私たちの想像をはるかに超えてしまうようです。
当然、少し探せば簡単に見つかる「常連」的なサカナが対象になるとは思いますが、事前にどのくらいの情報をもっているかによって、楽しみ方はかなり変わってくるでしょう。
例えば、名前がわからなければ「サカナがいっぱいいた」で終わってしまうでしょうし、名前がわかるだけでも「○○」と「××」がいた、となるでしょう。
さらに生態がわかれば「クマノミのメスが飛びあがって来たから、今は卵の保育中かも!?(前回のコラムをご参照ください)」といった楽しみ方になるかもしれません。
フィッシュ・ウォッチングの楽しみは、このように事前情報によって大きく変わってくるのです。

このコラム・シリーズでは、どこにでもいるフツーのサカナにこだわってきましたが、今回は日本で一番フツーと思われるサカナであるマダイについて語らせていただきたいと思います。
マダイだって、知っておけばこんなに夢中になっちゃうんだよってネタです。
しかも、ダイビングに行けないときでも、お寿司屋さんの水槽でだって確認できます。

マダイ 種の予想
日本には「○○ダイ」と名のつくタイは山ほどいますが、マダイのそっくりさんはチダイだと思います。

見分け方のコツは、まず「尾ビレ」。
マダイが尾ビレの後端に黒い縁取りがあるのに対して、チダイは水中では背ビレから尾ビレの下までぐるっと囲むようにピンクの縁取りが見えます(陸上にあげると見えずらくなります)。

次に「エラブタ」。
チダイのほうはエラブタのフチが赤いのが特徴で、マダイにはありません。

チダイ そして「大きさ」。チダイはマダイほど大きくなりません。
チダイには背ビレの前のほうが少し伸びている個体もいます。

他には、マダイは春に産卵するのに対してチダイは秋に産卵します。
ということは、夏の終わりに浅場でよく見かける10センチ前後の1年生は、よく見ると実はチダイだったということがよくあります。

恥ずかしながら私も最近まで気付いていませんでした。
これまで私が秋田から九州までのビーチ・エントリーで見たあの子たちは一体誰だったのか・・・なんて思います。
皆さんも実は騙されていませんか。

泳ぎ方
さて、マダイとチダイの幼魚の見分け方を確認したら、さっそく観察してみましょう。
ビーチ・エントリーで講習用のフロートをうつような場所でも、石と石とをカチカチと鳴らせばすぐに集まってくるはずです。
せっかくですから、彼らの泳ぎ方にも注目してみましょう。
実はマダイやチダイの泳ぎ方はとても特徴的です。
尾ビレで前進し、胸ビレを広げてブレーキをかけるのですが、ストップ&ゴーの連続で、よくもまあ、こんなにピタッと静止できるなあと感心するくらいの制動力です。
車がこんな動きをしたら、間違いなく乗っている全員がムチウチ症になってしまうでしょう。
この泳ぎ方が成魚でも同じですが、1年生は特にかわいくて、ときどき勢いあまってズッコケたりしているのです。

オスとメスの見分け
成魚になればオスとメスの見分けができますが、このコラムにこれまで登場してもらったカワハギやクマノミのようにわかりやすい特徴がマダイにはなく、ハイレベルな見分けテクが必要になります。
とはいってもマダイを商品として扱う人たちは、体長が30センチ以上あるものに関しては確実に一目で見分けてしまいます。
そんな人たち曰く、コツを一言でいうと、オスは男らしく、メスは女らしいんだそうです・・・
つまり、オスは顔が厳つく、おでこが前に突き出し、細長くて精悍な体つきで色はやや黒っぽい。
メスは優しい顔つき、体は全体に丸みを帯び、色はきれいなピンク色。春の産卵期にはさらにお腹が膨らんできます。

なんとわかりやすいんでしょう(笑

このように見た目の印象だけが頼りなので、挑戦のしがいのある課題なのではないでしょうか。

天然産 vs 人工産
マダイは天然魚以外に放流魚がいます。
水産試験場などで孵化、生産された稚魚が人に飼われると養殖魚、放流されると放流魚となります。
実は、水中で皆さんが見ているマダイの中のかなりのものが放流魚のようです。
この放流魚と天然魚の見分けは最高難易度で、「鼻の形」で見分けます。
天然魚は片側に2つずつ鼻の穴があるのに対して、放流魚はひとつに繋がっていたり、ズレていたりしているのが多く見られます(見た目の穴はひとつですが、隔皮(かくひ/鼻腔隔皮)といったもので中では2つに分かれています。最近では放流魚を含む人工産は、この隔皮に欠損や形態異常が多く見られるとのことです)。
鼻の穴は下の画像をご参照ください。

天然マダイ
天然マダイ
放流マダイ
放流マダイ

私もこの10年ほど、お魚屋さんや、お寿司屋さんの水槽で機会があればチェックをしていました。
おかげでほぼ見分けがつくようになりましたが、残念ながら水中で成魚のマダイに間近で遭遇するチャンスに恵まれていません。
ただ、人工マダイなのか天然マダイなのかを見分けられたところで、それが一体何になるのかと、そんな問いかけもあるやもしれません。
サカナ好きな私は「これは立派な環境問題だ」と答えたいと思っています。

※ 「天然マダイ」と「放流マダイ」の画像は、神奈川県水産技術センター様から転載ご承認のうえ掲載させていただきました。ご協力ありがとうございます。


西川 守(にしかわ まもる)

PADIジャパン/大阪オフィスのスタッフ。
とにかく魚が大好きで、いつもダイバー、釣師、魚屋さん、料理人のそれぞれの視点で魚を観察できる。
おかげで、いわゆるレアものより普通の温帯にいる魚が得意。
大の魚好きなことが高じて、オリジナルのPADIスペシャルティ「サカナとの遊び方SP」を作ってしまう。
これまでに、白崎海洋公園、串本、越前、牟岐、大分、佐世保、上五島で、この「サカナとの遊び方SP」のイベントを開催。
TVチャンピオン(テレビ東京系/現在は放送を終了)でお刺身を食べて魚種を当てるさかなクンを見て感動するが、いつの間にかそれが自分の得意技にもなってしまう。
「生まれ変わったら伊豆大島の波浮港の水底で、つぶらな緑色のひとみで 仲間とひしめき合って水面を見上げているハオコゼになりたい」と常々思っている。


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