「#ダイビングって楽しい」ハッシュタグキャンペーン実施中! 「PADIスペシャルティ・キャンペーン」開催中!
全国のPADIショップリスト

磯は生き物のパラダイス

第3回 春の海は海藻観察のベストシーズン

春といえば潮干狩り。
確かにその通りですが、同時に海藻が一番きれいな季節でもあるんです。
日本人はコンブやワカメをはじめ、さまざまな海藻を利用しますが、以外にもそれらの本当の姿を知らないことも多いようです。
この季節の磯遊びには、海藻もウォッチングにぜひ加えたいものです。

ノリ 1. ノリの形は四角いの?
焼き海苔や味付海苔はもっともポピュラーな海藻のひとつですね。
では、子供たちに質問してみましょう。
海苔という海藻の形は?
「四角!」なんて答える子もいるかもしれません。
でもあれは、海苔を集めて加工して形を整えたもの。
そもそも海苔は、オニアマノリ、オオバアサクサノリ、スサビノリなどのアマノリ類の総称です。
本州中部以南の潮間帯では、オニアマノリやマルバアマノリなどを見ることもできます。いずれも紅藻類なので、思ったより紫色がかっています。
形は、笹の葉のような細長い形をしています。ぜひ探してみてください。

2. 海の紅葉は春に始まる
地上の植物は、春に芽吹いて夏に育ち、秋に枯れる(休眠する)という例が多いのですが、おもしろいことに海の中は地上とは正反対。
海藻は秋が深まったころに芽吹き、冬の間に育ち、夏には枯れてしまうものが多いのです(テングサ、カジメ、ミル、フクロノリ、ツノマタのように夏でも枯れない海藻もありますが)。
だから夏休みは海藻の観察には向きません。
逆に春から初夏にかけてはいちばんいろいろな種類の海藻が見られ、成長しきった姿が観察できるのです。
地上に例えれば、春は海藻が紅葉を始める季節といったところでしょうか。



アカモク 3. 万葉集にも出てきた“なのりその花”
万葉集にいくつか登場する“なのりその花”は、ホンダワラの仲間を指しているようです。
しかし、ホンダワラは渇藻類ですから、いわゆる「花」をつけることはありません。
ホンダワラ類のアカモクなどは春に枝の先端に細長い雄性生殖器や雌性生殖器をつけます。
そして雌性生殖器の表面に出てきた卵が受精すると、それが寒天状の物質で覆われて、ガマの穂のように見えます。
それが花だと誤解されたのでしょう。
しかし、その観察力はたいしたもの。古くにもナチュラリストがいて、磯遊びをしていたと思うと、ちょっと和みますね。

アマモ 4. それでも海藻には花がある?
海藻は藻類だから花はつけないと言いましたが、実は海草は花をつけます。
“?”と思った人は字をよく見てください。
海に生える植物には、藻類の「海藻」と種子植物の「海草」とがあるのです。
海草の代表としては、リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ(竜宮の乙姫の元結の切り外し)という優雅な名前を持つアマモがあります。
ただしアマモの花は普通の花とはイメージが違います。花は鞘のようになった葉の中につき、花びらも萼(がく)もありません。
黄色い米粒状に見えるのが雄しべの葯(やく)、ヒゲのように出ているのが雌しべの柱頭です。

ワツナギソウ 5. 宝石のような海草を探そう
海草といえば、緑や茶色、黒、紫、赤などが多く、目立つような色をしたものはあまり見かけません。
ところがタイドプール(潮だまり)の外側の斜面などを覗いてみると、青い蛍光色を放つ美しい海藻が見つかることがあります。
ワツナギソウです。体は平たくて、その表面に青い色が縞を描いています。海藻の中にはこうした蛍光色を発するものが、ベニヤナギノリ、フクリンアミジなどいくつか知られています。
このワツナギソウは、比較的浅いところでよく見られます。
なんだかちょっと得した気分になるから不思議です。
すごいでしょ。

カニノテ 6. 石なのか、サンゴなのか
海藻は、ほとんどが薄くて柔らかい体を持っており、それが波にゆらめいているものです。
しかし、サンゴモと呼ばれる仲間は、藻全体が石灰に覆われて石のように硬くなっています。
カニノテやワライシモなどは、ごく浅いタイドプールなどでもよく見られます。色も紅色で美しく、まるでサンゴのようです。
なかでもヒライボは、はっきりいって石そのものです。
石ころや岩の表面に丸みのある短い突起がたくさん並んでいます。これが海藻と見抜ける人は、そう多くないでしょう。

7. 海藻を押し葉にして楽しむ
海藻の標本作りは、以前は水分を取るために新聞紙を何度も交換したり、標本を挟んださらし木綿に海藻がくっついたりして大変でした。
しかし、元・筑波大学下田臨海実験センター長の横浜康継さんの考案した方法を使えば簡単に、しかも短時間で標本を作ることができます。
海藻持ち帰りには網袋や布袋を使います。密閉したビニール袋で運ぶと腐りやすいので注意。
保存する場合は、冷蔵庫または冷凍庫に入れます。

01
1.バットなどに入れた真水で海藻を洗い、塩分を抜く。
ト02
2.台紙を水に浸し、その上でピンセットで海藻を広げる。
03
3.そのまま台紙を引く抜くように上げ、斜めに立てかけた台に並べて水を切る。
04
4.ダンボール、吸取紙(新聞紙など)、台紙、テトロン混紡の布、吸取紙(新聞紙など)の順に積み重ねる。このときダンボールの穴の向きを同じ向きに揃える。
05
5.標本の上に重しを置き、ダンボールの穴の方向から扇風機で風を送る。ほぼ一晩で標本が完成!



三宅直人 三宅 直人
1954年岡山県生まれ。アクアリウム雑誌の編集者を経てフリーに。
『BE-PAL』誌に「図鑑の庭」、『アクアライフ』誌に「アクアリウム歴史読本」などを執筆。
『緑・花試験集中講義』などの著書がある。

友永たろ 友永 たろ
イラストレーター。主に キャラクター製作、児童書イラストを描く。
魚や水生生物が大好きで、独特のタッチで描かれる魚たちのイラストはいろいろなところで目にかかることも多い。
最近ではFlashでムービー作成にはまっている。
ホームページ「ぼくのすいぞくかん(http://boku-sui.net)でイラスト&Flashムービー公開中。


back

clear

Facebookページ Twitter Google+ページ Youtube