デジカメ上達クリニック〜第14回 コンパクトデジカメを使いこなせ(マクロ編1)
水中世界の感動を写真を残そう!

デジカメ上達クリニック

-第14回- コンパクトデジカメを使いこなせ
マクロ編1


今月のお手本
◆カメラ:OLYMPUS TG-820
◆プロテクター:PT-052
◆撮影モード:水中マクロ
◆絞り値:F5.9
◆シャッター速度:1/125
◆露出補正:±0.0EV
◆ISO:AUTO(200)
◆フラッシュ:ON
◆WB:水中
◆超解像ズーム:ON
◆撮影地:フィリピン

前回、コンパクトデジタルカメラを使ったワイド撮影編について解説したので、今回はコンパクトデジタルカメラを使ったマクロ編について紹介したい。

伊豆ダイバーや南紀ダイバーなど国内を中心に撮影されている方は、ワイド撮影よりマクロ撮影の頻度が高くなると聞く。透明度や浮遊物の量などを考慮すると、どうしても被写体にグッと近づいて被写体を拡大して撮影する手法のほうが有利の場合が多くなる。

コンパクトなデジタルカメラを使って、浮遊物の多い環境で撮影する場合に気をつけなければならないのが、フラッシュ光が浮遊物に反射して起きる「マリンスノー」になるが、カメラの構造上、レンズと内蔵フラッシュの位置が隣接しているので、どうしてもノイジーな画像になりやすい。今回はコンパクトデジタルカメラでもマリンスノーに負けないマクロ撮影の仕方について解説する。

●必要機材

使用するカメラは標準的なコンパクトデジタルカメラとその防水ハウジング。最近発売されたコンパクトデジタルカメラの中には、一眼レフ並みの画質を有する機種もあるので、予算が豊富にある方は検討すると良いかもしれない。OLYMPUSのXZ-1はその代表機種になるが、通常のコンパクトデジタルカメラに搭載される撮像センサーより格段に大きいセンサーを搭載し、画像処理エンジンも一眼と同様の高性能なタイプを搭載している。高性能だが価格もそれなりに高額になるのでお財布には痛いが!
今回使用したのは、超高性能コンパクト機ではなく極普通のコンパクトデジタルカメラ。ただしエンジンは一眼からの流用、撮像センサーは、新型の裏面照射型CMOSを採用しているタイプだ。見かけは前モデルと変わらないが中身は驚くほどすごい。
コンパクトカメラと一眼タイプの大きな違いは、レンズとフラッシュの配置が挙げられる。 コンパクトなカメラではレンズのすぐ脇にフラッシュが配置されているのに対し、一眼タイプは内蔵フラッシュを使わずに レンズから離れた場所から外部フラッシュを照射させるタイプが多い。
このようにレンズから離れた位置からフラッシュ光を発光させた方が浮遊物からの反射を防ぐことが容易にできる。 ただし、外部フラッシュを用いると、どうしてもシステム自体が大きくなる欠点が生まれてしまう。 いかにこの不利なシステムできれいに撮るか?が問題になってくる。

●撮影の仕方


ズーム:ワイド側

ズーム:望遠側
浮遊物がかなり多い場合には、ズームをワイド側で使う手法を用いるとマリンスノーが出やすくなる。 ズームを望遠側で撮影するようセットして、被写体との距離をできるだけなくす努力が必要だ。 ご自身のカメラがズーム望遠側最大にセットしたときに、どこまで近づけるか正確に把握して、その距離で捉えることが大切なポイント。陸上であらかじめチェックしておく。その距離を割り込むとピントが合わなくなるし、それ以上離れると白っぽくノイジーな画像になる。
カメラの設定は、
●撮影モード:
水中専用のマクロ系のモードを使用する。水中マクロモードが望ましいが、搭載していないカメラはP(プログラムオート)
●ホワイトバランス:
水中専用の水中ホワイトバランスを使用する。フラッシュ光が少なくても発色が良くなるのでマリンスノーが出にくくなる。搭載していない場合は5300K(プリセット晴天)
●フラッシュ:
浮遊物の多いシーンでは水面からの光も乏しくなるので、フラッシュは強制的にON。

●必要機材

コンパクトカメラでマクロ撮影をする場合には、クローズアップレンズの併用を勧める。 持っていないとダメ!というくらい必要性の高いアクセサリーだ。 水中ライトなどの補助光等より効果が高く、防水ハウジングの購入と同時に用意したい。 防水ハウジングのタイプによってリング径が異なるので購入時には変換アダプターなども一緒に用意する。

●撮影の仕方


クローズアップレンズあり

クローズアップレンズなし
クローズアップレンズの効果
写真を見てすぐに効果が判断できる。 クローズアップレンズを付けると、遠くにピントが合わなくなる。また寄りすぎてもピントが合わない。 ある一点でしかピントが合わなくなるので、どのくらいの距離でピント合うのかダイビング前に陸上でジックリ練習すると良い。

●構え方

左手でカメラをしっかりと構える。
左手の甲を地面や岩の上に置いて、三脚で固定したような状態をつくるのがコツ。 カメラを宙に構えると、カメラが動きピントが合わない。
被写界深度(ピントの合う幅)はものすごく薄くなっているのでこのポイントは、しっかりと押さえたい。
クローズアップレンズを重ねて使用したり、倍率がかなり高いクローズアップレンズを使う場合、レンズと被写体の距離がかなり短くなる。その結果内蔵フラッシュの光が回らない場合が出てくるが、左手をカメラの上にかざしてあげるだけで、フラッシュ光は回る(白いプラ板などがあればもっと効果的)。 大きな外部フラッシュやライトがなくてもきれいに撮れる!
いろいろなシーンでのマクロ撮影
マクロ撮影では、クローズアップレンズの使用が多くなるが、クローズアップレンズを使うと被写体にぶつかる直前まで寄らないとピントは合わない。 したがって、寄れない被写体への撮影では、クローズアップレンズは外して撮影を行なう。
また、クローズアップレンズを装着している場合は、ズームを望遠側最大付近で撮影する。ズームをワイド側にシフトさせるとケラレたり、画像が流れたりするトラブルが出る。つまり、被写体によって外したり付けたりしながら撮影するわけだ。外したクローズアップを水中に忘れることもあるので注意が必要。
要クローズアップレンズの被写体例
クローズアップレンズ不要の被写体例

失敗フォト+クリニック

和歌山の串本できれいなウミウシをガイドさんが探してくれました。「寄って寄って」って言われて画面いっぱいになるまで寄って撮ったんですが、ピントが全く合いませんでした。清水さんのお勧めの水中マクロモードで撮ったんですが?
◆カメラ:OLYMPUS TG810
◆撮影モード:水中マクロ
◆絞り値:F5.9
◆シャッター速度:1/125
◆ISO:100
◆フラッシュ:ON
◆露出補正:-0.3EV
◆WB:水中
処方
TG810の水中マクロモードの場合、ズームが望遠側最大にセットされ被写体を大きく撮れるように自動セットされます。ですがTG810の望遠側最大の最短撮影距離は陸上で50cm。水中ではその1.33倍の約65cmでピントがあります。 ウミウシの用に小さな被写体を画面一杯になるまで近づくと その最短撮影距離を割り込むことになるのでピントが合わないのです。クローズアップレンズを付けて撮影すればOKです。
(写真:TG820+クローズアップレンズ)

清水 淳 Profile


しみずじゅん。1964年埼玉県生まれ。「水中から見上げた空」をメインテーマに半水面や海辺の風景撮影を撮り続けている。ダイビング専門誌やカメラ関係誌などで執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室《マリーンプロダクト》を主宰。著書に「誰にでも撮れる水中写真」「デジタルカメラで簡単水中写真」がある。社団法人日本写真家協会会員
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