前回までは、ワイド撮影でチョイスするであろうレンズを「標準ズーム」、「ワイドズーム」、「フィッシュアイ」と3種類用意して水中に持ち込み、同じ場所でほぼ同時に撮影して、画角や表現の違いを比較してみた。今回は、マクロ撮影で使用されると思われるレンズを3種類チョイスして比較を行なった。ワイド撮影と違い、被写体にどのくらいまで近づけるか? 同じ距離で撮影した場合、どのくらい大きく写せるか?など、被写体との距離がキーポイントになりそうだ。今月は、標準的なズームレンズの最短撮影距離をベースに、他のレンズもその距離から撮影して、同じ被写体がどのくらいの大きさに写るか比較してみる。
今回の比較の結果としては、標準レンズの最短撮影距離はズーム望遠側で30cm。他2本のマクロレンズのように被写体に近づいて撮影することはできない。この距離での撮影では、焦点距離の長いレンズが大きく写すことに長ける。50mmMC+EC20は焦点距離が100mmなので、50mmMC+EC2>60mmMC>14-42mmの順番となる。
最近はやりの高性能のミラーレス一眼は、写真の知識がない方にでも簡単に楽しめるように水中専用の撮影モードを搭載しているので、ほぼフルオートで水中撮影が楽しめる。
今月のお手本の写真は、マクロ撮影の聖地、インドネシア/レンベでの一枚。色鮮やかな甲殻類をじっくり狙って撮影した。フラッシュ光を過不足なく照射させるのが、きれいに撮るコツだ。
水中ではワイドからマクロまで1本で幅広く楽しめるレンズ。標準ポートに収納できるのでコスト的に有利。
マクロ撮影を狙う場合、今回紹介したレンズの中では、焦点距離、最短撮影距離が短いので倍率が低い。
重さ112gと小型軽量のズームレンズ。街撮りからポートレートまで、普段使いに最適。静止画も動画もスムーズに撮影できる、高速&静音のオートフォーカス"MSC機構"を搭載している。
焦点距離: 14-42mm(35mm判換算 28-84mm相当)
レンズ構成: 7群8枚(非球面レンズ3枚)
マウント: マイクロフォーサーズマウント
画角: 75°-29°
最大口径比/最少口径比: F3.5(14mm)-F5.6(42mm)/F22
最短撮影距離: 0.25m(焦点距離14-19mm) / 0.3m(焦点距離20-42mm)
最大撮影倍率: 0.19倍(35mm判換算 0.38倍相当)
最近接撮影範囲: 91 x 68mm
絞り羽枚数: 7枚(円形絞り)
フィルターサイズ: φ37mm
大きさ: 最大径×全長 φ56.5 x 50mm
質量: 112g
マイクロフォーサーズ規格レンズの中では一番の拡大倍率を持つレンズ。インナーフォーカス機構を導入、AF速度が早い。標準ポートに収納可能。(PT-EP05Lは不可)
解像力とコントラストの高さに秀でた防塵・防滴性能の等倍マクロレンズ。遠方から1:1等倍のマクロ撮影まで、また画面中心から周辺まで高解像・高コントラストを維持し、絞り開放から鮮鋭な描写力を実現。ネイチャーマクロはもちろん風景やポートレートなど幅広い用途で活躍する。
焦点距離: 60mm(35mm判換算 120mm相当)
レンズ構成: 10群13枚(EDレンズ、HRレンズ2枚、E-HRレンズ)
マウント: マイクロフォーサーズマウント/金属マウント
画角: 20°
最大口径比/最少口径比: F2.8/F22
最短撮影距離: 0.19m
最大撮影倍率: 1.0倍(35mm判換算 2.0倍相当)
最近接撮影範囲: 17×13mm
絞り羽枚数: 7枚(円形絞り)
フィルターサイズ: φ46mm
大きさ: 最大径×全長 φ56x82mm
質量: 185g
防塵防滴機構
水中でのマクロ撮影では定番のレンズシステム。フォーサーズ規格のために機種によってはAFの動作がかなり緩慢になる。 新しいセンサーを搭載したE-M1では、このレンズのAFがスムーズに動くので、比較用に記載してみた。通常のPENシリーズにはお勧めできない。レンズ本体の価格が高額なのと専用のマクロポートが必要になるので、お財布にやさしくないが、長い焦点距離と美しいボケ味が定評のレンズシステム。ハゼなど臆病な被写体を遠くから大きく写すにはこのシステムが最適。
合計焦点距離: f=100mm(35mm判換算 200mm)
マウント: フォーサーズマウント/金属マウント
最大撮影倍率: 1.0倍(35mm判換算:2.0倍)
防塵防滴
フィルターサイズ: φ52mm
大きさ: 最大径×全長 φ71x61.5mm (50mmMC), φ68x41mm(EC20)
E-M1,E-M5,PENシリーズでの使用時はマウントアダプターが必要
清水 淳 Profile