デジカメ上達クリニック〜第35回 撮りたいこの一枚 インドネシア・レンベ/おさかな編
水中世界の感動を写真を残そう!

デジカメ上達クリニック

-第35回- 各地のダイブサイトで撮りたいこの一枚
インドネシア・レンベ/おさかな編


今月のお手本
◆カメラ:OLYMPUS TOUGH TG-3
◆ハウジング:PT-056
◆撮影モード:水中マクロ
◆絞り値:F6.3
◆シャッター速度:1/200
◆露出補正:±0.0EV
◆ISO:200
◆フラッシュ:ON/内蔵フラッシュONLY
◆WB:水中WB
◆水深:-6m
2014年5月から、各地のダイブサイトで撮りたい水中写真をピックアップして、その撮影手法について解説&紹介していく企画がスタートした。一年を通していろいろなダイブサイトへ撮影に行くが、それぞれのポイントで様々な水中撮影の楽しさに出会う。その時々に感じた気持ちを作品にしながら、いかに簡単に楽しく撮影するにはどうしたら良いか?といった観点で話を進めていきたい。

前回はインド洋に浮かぶ世界屈指のリゾート、モルディブでのスクーバダイビング撮影について紹介したが、今回は、インドネシア・レンベで出会うコテコテのマクロの被写体について紹介したい。インドネシア・レンベと聞くとあまりなじみのない方が多く、「それってどこ?」という反応が返ってきそうだが、マクロ系の水中撮影が好きな方にはパラダイスと呼ばれている。透明度はハッキリ言って良くない! ひどい場合は2~3mになるほどだが、撮影していて楽しく、魅力的な被写体でいっぱいなのだ。

いろいろ紹介したい被写体がある中で、お魚系では今回紹介するニシキテグリ! キュートな容姿でファインダー越しに吹き出してしまうくらい面白い顔をしている変わった魚だ。この被写体は夕方に撮影を行なう。水深は浅く5~10mのエリアで夕暮れ時に出没する。臆病な魚で日中はサンゴのガレ場の奥に潜んでいるらしい。運が良いと雌雄の求愛行動に出会える。まだ光がある薄暗くなる前にエントリーして、ニシキテグリが出てきそうな場所に陣取る。薄暗くなるとサンゴの間からチョロチョロと出てくるのを狙って撮る。これが意外に楽しい。次回はレンベのエビ・カニ系を紹介したい。

カメラの設定

使用する撮影モードは水中マクロ。
陸上用の撮影モードは水中では使用しないのが原則。 オートフォーカス、ホワイトバランス、露出のコントロール、フラッシュの制御、発色など、撮影に必要な条件設定を水中用にチューニングしなければならないからだ。
このモードにセットすれば、難しいチューニングは不必要。ワンタッチで水中でマクロ撮影に最適な状態にセットされる。
暗い場所で腕をいっぱいに伸ばして撮影することになるので、余計なアクセサリーは徹底して外していく。
被写体に近づけても30cm程度なのでクローズアップレンズは不必要。長いコイルラニヤード等も外していきたい。

持っていくアクセサリー

持って行くアクセサリーは減光した水中ライト。
暗くなってから現れる習性のニシキテグリは、非常にデリケートな魚でライトの光を嫌う。明るいと出てこないのだ。
大光量の水中ライトは持っていかないこと!! 小さな水中ライトに減光装置を取り付け、微量な光が出る程度に調整した物を用意する。
減光装置は、スーパーの買い物袋を切って3~5枚程度重ねて輪ゴムで止める程度。光量の強いライトは最小光量にセットして5枚重ねすると良い。減光効果が足りない場合は更に増やす。

減光装置付の水中ライトを装着した撮影システム

減光装置:スーパーのビニール袋を切って使う

撮影方法1

使エントリー後、ガイドさんに撮影場所へ案内されたら、シッカリ着底してジーッと動かないで、ニシキテグリが出てくるのを待つ。
動き回ると、水底の泥が巻き上がり、撮影時にノイズが出る。
左手で体を支えることになるが、バランスを崩すたびに左手で水底をたたいて濁りを悪化させる方も多いので注意。無意識のうちにその動作を行なっているようだ。

巻き上がった状態で撮影

撮影方法2

撮影が始まり、他ダイバーのカメラがフラッシュを焚き始めると焦りを感じるが、慌てずに減光された水中ライトでニシキテグリが良く現れるルートを探る。
何となくわかってきたら、闇雲にカメラを振り回さずに、そこにカメラを向けて待つ。明るいライトで探すと出てこなくなるので注意。
被写体まで遠いと、巻き上がった泥にフラッシュ光が乱反射し、ノイズが出るので、十分に近づいて撮影したい。
今回使ったTG-3は暗所でも安定したオートフォーカスが得られた。しっかり寄って内蔵フラッシュで撮影する。特別なテクニックは必要ないが一昔前のカメラだとオートフォーカスが効かず、ジーコー音の嵐になる。

減光装置付のライトで付近を観察

被写体まで遠いとノイズが出る

求愛行動

周りの明るさがなくなってくる頃、この撮影も最高潮になる。大きな個体が雄だが、ヒレを広げて雌にアピールを始める。
モテる雄がいる付近に陣取れるか否かが、この撮影の成功の鍵を握る。
2晩続けて参加すると一連の流れも理解できて成功率が上がるはずだ。
求愛行動中、ニシキテグリは周りへの警戒が薄くなるので、近づいても逃げられたりしないのでチャンス。
距離が縮まればノイズレスな画像が得られる。

ペアが生まれる

大きな方が雄。ヒレを広げて雌にアピールする

失敗フォト+クリニック

レンベであこがれの固有種に出会いました。前から撮りたかったので夢中で撮影したのですが、雰囲気のない暗いカットばかり。通常にマクロモードでフラッシュONで撮影しました。
◆カメラ:OLYMPUS E-M1
◆レンズ:MZD60mmMC
◆ハウジング:PT-EP11
◆撮影モード:水中マクロ
◆絞り値:F8.0
◆シャッター速度:1/125
◆露出補正:-0.7EV
◆ISO:200
◆フラッシュ:ON
◆WB:水中
処方
バンガイ・カーディナルフィッシュは変わった形の魚ですね。 マクロで背景を暗く落とすと元々地味な体色なのでパッとしません。フラッシュを止めて自然光撮影変更にすると周りの環境も明るく写り、被写体も鮮やかに発色され、フラッシュONとは趣のまったく違う出来上がりになります。 絞りを解放付近まで開けた撮影になるのでピントに注意が必要です。 フラッシュOFF撮影時はISO感度をAUTOにします。
◆カメラ:TG-3
◆ハウジング:PT-056
◆撮影モード:水中スナップ
◆絞り値:F2.0
◆シャッター速度:1/60
◆露出補正:0.0EV
◆ISO:125(AUTO)
◆フラッシュ:OFF
◆WB:水中WB
◆手振れ補正:IS1

清水 淳 Profile


しみずじゅん。1964年埼玉県生まれ。「水中から見上げた空」をメインテーマに半水面や海辺の風景撮影を撮り続けている。ダイビング専門誌やカメラ関係誌などで執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室《マリーンプロダクト》を主宰。著書に「誰にでも撮れる水中写真」「デジタルカメラで簡単水中写真」がある。社団法人日本写真家協会会員
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