2014年5月から、各地のダイブサイトで撮りたい水中写真をピックアップして、その撮影手法について解説&紹介していく企画がスタートした。一年を通していろいろなダイブサイトへ撮影に行くが、それぞれのポイントで様々な水中撮影の楽しさに出会う。その時々に感じた気持ちを作品にしながら、いかに簡単に楽しく撮影するにはどうしたら良いか?といった観点で話を進めていきたい。
今月は、高確率でオナガザメ(ニタリ)が見られるフィリピン/マラパスクアの水中撮影について紹介したい。フィリピンのセブ島の北端に位置するマヤ港(Maya)までセブ・マクタン空港から車で3時間。そこからボートに乗り、さらに北へ行ったところにある小さな島がマラパスクア島だ。マラパスクア島はすごく小さい島で、南北が2.5km、東西が1km。リゾート開発も島の南側にほんのわずかで、繁華街や大型ホテルはない。ホテルの前には白砂のビーチが広がり、ヨーロピアンダイバーが好みそうなロケーションだ。
オナガザメに出会えるダイブサイトは、島からボートで30分程度の「モナドショール」。水深20~30m付近の棚でオナガザメが現れるのを待つ。オナガザメは、日の出の一時だけこの場所でクリーニングされにやってくる。それを狙って撮るのだが、薄暗い環境でうまく撮るのはなかなか難しい。今回のロケ時は透明度も悪く、隣国の長期休日と重なり数多くのダイバーと共にウインドウショッピング状態となった。静止画の撮影がうまくいかなかったので、このオナガザメのカットは動画からの切り出しとなった。
マラパスクア島周辺には、オナガザメ以外にも魅力的な被写体がたくさん見られた。一面のソフトコーラルのポイントや鮮やかなマクロの被写体と、毎日4DIVEしてしまうほど楽しいダイブサイトだ。全般的に被写体の潜む水深は、やや深い20~30m前後。ナイトロックス・ガスも用意されているので準備しておくと良い。
マラパスクア
小さな島の南側に、ダイビングサービスが併設されるこじんまりとしたホテルが立ち並ぶ。どことなく大瀬崎の前浜のような雰囲気。
今回宿泊したホテルにはプールも併設されていた。朝食付き1ROOM/2名使用で10,000円前後。エキゾチックな雰囲気のホテルだが居心地は悪くなかった。
使用したダイビングサービスは、《エメラルドグリーンダイビングセンター/マラパスクア店》。フィリピンロケではいつもこのサービスさんにサポートをお願いしている。マラパスクアの他、セブ・マクタン店、セブ・モアルボアル店、セブ・サンタンダー店、ボホール店がある。空港からの送迎からお土産の手配まで細かいケアが嬉しい。マラパスクア店ではホテルも併設している。
使用する撮影モードは「水中ワイド」モード。基本的に水中でのワイド撮影はこのモードを使う。
カメラのファンクションボタン(FN)に水中モードの呼び出しを割り振って使う。このモードにセットすれば、難しいチューニングは不必要。ワンタッチで水中でのワイド撮影に最適な状態にセットされる。
モニターの左隅に魚3尾のマークが出たらセット完了!
内蔵フラッシュで撮影する場合は、ISOをAUTOにセットするのを忘れないように行なう。
背景の明るさを露出補正でコントロール。フラッシュの明るさはフラッシュ補正で調整する。
すべてカメラ側でコントロールできるのが特徴だ。絞りやシャッター速度を意識せず、明るかったらダイヤルを回して暗くする、フラッシュが強かったらダイヤルを回すといった感じだ。 カメラの詳しい知識は必要ない。
ボートからエントリー後、潜降ラインで降りていく。 水深20~30mにある棚でサメを待つ。 このポイントでのルールが決められているので厳守する。
【モナドショールでのルール】
モナドショールでのオナガザメ撮影では、よほど運が良くないと「サメにぶつかるほど近づいて撮影」とまでいかないようだ。 レンズチョイスは、フィッシュアイより画角の狭いM.ZUIKO DIGITAL12mmなど明るい広角レンズがオススメ。 現地の写真家である竹谷真紀氏はTG-3を使ってのかっこいいオナガザメの作品を撮られていた。
一面ソフトコーラルといったポイントでじっくりワイド撮影を行なった。 ここに生息しているソフトコーラルはとても鮮やかな色彩を持つ。流れが速く、やや浮遊物の多いポイントだが、お気に入りのポイントとなった。 露出補正をやや強めにかけて濃いめのブルーに背景を調整すると、ソフトコーラルの鮮やかさが際立つ。
昼食はショップ前のビーチで半水面撮影。 ドームポートに肉球パンチ!
半水面撮影のカメラ設定水中ワイドモード
フラッシュOFF
ISO:AUTO
露出補正:±0.0
マラパスクア島の周りには、鮮やかなマクロの被写体もたくさん見られた。
カメラの設定は
水中マクロモード
フラッシュOFF
露出補正-0.7EV
ライト:RGBlue System02 Premium Color
1日4ダイブ、合計5日間20ダイブの水中撮影ダイブを楽しんだ。
遠くのダイブサイトに行くより、島の近くのダイブサイトが好みに合った。
砂地にいろいろな生物が見られて、楽しめた。 マラパスクアに撮影に行く場合は、ワイド&マクロ両方のレンズが必要だ。
ハゼの種類も多く時間を忘れるほど楽しい撮影だ。
動きの速い被写体や、動画も静止画も両方撮りたい!といった場合に、動画撮影を行なっておいて、撮影後に動画データから静止画を切り出す方法がある。難しくはないがPhotoshopなどのソフトが必要。 今回はPhotoshopCCを使った方法を紹介する。
1.Photoshopで動画データを開く。
2.スライダーで切り出したい場所をセットする。
3.ファイルのタブから別名で保存を選択。
保存するデータの種類をJPEGを選択して保存する。 動画データから静止画データが切り出される。 切り出された静止画はハイビジョンムービーのアスペクト比(縦横比率)16:9になっているので、その後、トリミングして、使いたい大きさにすると良い。 動画撮影設定は、画質設定を最高画質(サイズを最大)にセットする。
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