TG-5にもTG-6にも高速で移動する被写体向けの撮影モードが用意されていない。ミラーレス機であれば「シャッター速度優先オート」が選べるがTGにはない。しかし、高機能なTG-6には、ISO感度をコントロールして最低速度制限をコントロールする機能が搭載されている。希望するシャッター速度をキープさせるためにISO感度を上下させて露出をコントロールする機能だ。
シャッター速度を高くしたいのだから、当然絞り値は開放側にした方が有利なのでTG-6の場合、ズームはワイド側最大にセットしておく。TGはレンズの状態すなわちズーム位置で絞りが変わる構造だからである。
この機能を使った場合のシャッター速度設定の上限は1/500なのでそれにセットする。ISO感度の上限は12800まで上げられるが、感度を上げすぎるとノイジーな画像になるので現実的な3200を上限にセットする。これである程度の明るさの範囲であればシャッター速度を1/500をキープさせながら撮影が可能だ。
イルカやアシカなど動きの速い被写体の撮影に必要不可欠なテクニックと言える。しかし、この便利な機能も水中モードでは設定できない。プログラムオートやAモードで設定可能なので、プログラムモードを選択してカメラを水中向けにチューニングしてその状態を記憶させる。
TG-6にはカスタム設定という機能があるので、このモードをキープしたまま水中撮影向きにカメラをチューニングする。聴いただけでは難しそうに聞こえるが順を追ってわかりやすく解説していくので、ご自身のカメラを一緒にチューニングしていこう。そして、このカスタムモードを従来の水中モードと併用して撮影するとより水中撮影が楽しくなるはずだ。
この夏のイルカ撮影に、是非!
動きの速いイルカやアシカの撮影などにカメラをチューニングできるのもTG-6の特徴だ。Sモード/シャッター速度優先が搭載されていないので、動きの速い被写体をTG-5ではシーンモード/キッズなどを使っていたが、E-M1 MarkⅡ譲りの低速限界設定が搭載されたのでシャッター速度を高くキープさせる制御も可能になった。
実際に使用する場合は、カスタムモードチャンネル2をダイヤルでセットする。この設定であれば、シャッター速度をキープするバーターとして、暗い環境ではISO感度が上がっていく仕組みだ。ISO3200に達した以降は次第にシャッター速度が落ちていく。
清水 淳 Profile