今回は水中でのワイド撮影について解説する
被写体を見つけたタイミングから成功の1枚を得るためまでのプロセス、順を追って仕上げる手順をマスターしていただきたい。どんなに素敵な被写体でも、見つけて一撃では成功のカットが得られないものだ。ワイド撮影の基本は、「2つの露出を1枚の写真にバランスよく調整する」こと。背景のブルーの濃度とフラッシュの照射量をコントロールできればよいのだが、カメラのどこを調整したら背景の露出とフラッシュの量が変わるのか、陸上で事前にマスターしておくとよい。
★背景の露出→露出補正を調整する
★フラッシュの量→フラッシュ補正を調整する
成功の1枚を得るためまでの手順
●背景がカッコよく映るアプローチ角度を考える。
●背景の露出(明るさ)を調整する。
●フラッシュの露出(明るさ)を調整する。
●2つの露出を固定して被写体のタイミングに合わせて数多くシャッターを切る。
最初に背景の明るさをコントロールする。好みのブルーの発色になるまで露出補正をマイナス方向へシフトさせる。水中ではめったにプラスに振ることはない。マイナスに振れば振るほど、濃いブルーが得られる。水中ワイドモード搭載機なら初期設定のままでも程よいブルーが得られるように設定されているものもあるが、好みのブルーを見つけられるように露出補正を動かしてみる。背景が全て岩や砂になるようなアングルでは、露出補正をマイナスに振っても効果は得られない。背景が水=ブルーになる場合のみ有効なテクニックだ。
背景の明るさをコントロールできたら、次にフラッシュの照射量を調整する。基本的に水中ではフラッシュ光が届きにくいことを理解していただきたい。大型の水中フラッシュでもせいぜい飛んで2mくらいが限界だ。赤色をきれいに出したい場合は、被写体から1m以内で発光させたい。モニターを見ながら1カット撮影したら、少し調整して再度モニターチェックを繰り返す。水中でモニターを見たときに、「少しフラッシュの光量が足りないかな?」と思うくらいに調整するのがコツ。
清水 淳 Profile