もっと知りたいエンリッチド・エア 〜 第6回 エンリッチド・エア使用の際の注意点

もっと知りたいエンリッチド・エア

-第6回- エンリッチド・エア使用の際の注意点

文/西山 徹(株式会社ACCESS代表取締役)

この連載でエンリッチド・エアを使用することの多くのメリットを紹介してきましたが、使う際には注意しなければいけない点もあります。以下に挙げるポイントに留意して、エンリッチド・エアでのダイビングを楽しみましょう!

「エンリッチド・エア=安全」というわけではない

エンリッチド・エアの使用によりダイビングの安全性を高めることができるのは確かです。ただし、これは同条件(深度や潜水時間)で空気を使用したダイビングと比べた際の話。エンリッチド・エアを使用しても、エンリッチド・エア対応のダイブコンピューターで限界ぎりぎりのダイビングをすれば、減圧症の可能性は空気と同じようにあります(通常の空気設定のダイブコンピューターで、32%のエンリッチド・エアを使用し、水深30m以内で、1日の合計潜水時間が160分以内で潜れば、減圧症の可能性は減少します)。

また、酸素にも窒素と同じように麻酔作用があるので、空気を使用した際と同様に窒素酔いは起こりますし、酸素分圧が高いため、酸素中毒の危険性もあります(下記参照)。「エンリッチド・エアを使っていれば安全」と盲目的に信じるのではなく、特性をきちんと理解して利用しましょう。

※詳しくはエンリッチド・エア・ダイバー・マニュアルの3ページ~をご覧ください。

深度制限がある

エンリッチド・エアを使用してダイビングする場合、酸素分圧が高いため、空気を使用してのダイビングよりも酸素の影響を受けやすくなります。そのため、酸素分圧を限界内に抑えて(=酸素分圧が1.4を超えない深度に抑えて)酸素中毒を避けなければなりません。レジャーダイバーがなりがちな中枢神経系(CNS)酸素中毒では、突然ケイレンし、水中でレギュレーターが口から外れて溺れる危険性もあるので注意が必要です。

※詳しくはエンリッチド・エア・ダイバー・マニュアルの14ページ~をご覧ください

専用の器材は必要か?

ダイビング器材の素材によっては、高濃度の酸素に接することで、発火や爆発、急激な劣化の可能性があるといわれています。一般的なガイドラインでは、40%以下の酸素濃度のエンリッチド・エアでは、通常の器材がそのまま使用できるとされていますが、器材メーカーによっては「使用できない」としていたり、「特別なサービスとメンテナンスが必要」としているところもあります。ご自身が使用する器材メーカーの奨励する手順に従ってください。

※詳しくはエンリッチド・エア・ダイバー・マニュアルの7ページ~をご覧ください

使用するためには講習を受ける必要がある

上記のような注意点を認識し、エンリッチド・エアを使って安全にダイビングを楽しむために、講習を受ける必要があります。PADIの「エンリッチド・エア・ダイバー・スペシャルティコース」では、エンリッチド・エアを使用してダイビングを楽しむうえでのガイドラインや、使用する器材、エアの充填、緊急時の対処法など、多くのことを学びます。

⇒「エンリッチド・エア・ダイバー・スペシャルティコース」の詳細はこちら

筆者プロフィ-ル

西山 徹(にしやま とおる)
福岡県大牟田市で《SCUBA DIVING PRO SHOP AQUA》を2003年より経営しつつ、エンリッチド・エア製造を目指し、《株式会社ACCESS》を立ち上げる。メンブレン方式のエンリッチド・エア製造装置「CORE」を開発し、同システムを日本各地で精力的に普及させつつある。現在では熊本県、宮崎県、鹿児島県、高知県、沖縄県、愛知県ですでに導入されており、今後もさらなる活躍が期待される(メンブレン方式は東京都、山形県でも認可されています)。
お問い合わせは…ホームページEメール

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