自然写真家・高砂淳二が贈る「素晴らしき海の世界」 -第18回- 「ミッドウェイ」
自然写真家・高砂淳二氏が贈る

素晴らしき海の世界

-第18回- ミッドウェイ

太平洋の真ん中にミッドウェイという環礁が浮かんでいる。あの有名な"ミッドウェイ海戦"のあった場所だ。ミッドウェイには、今はわずかな米軍兵が常駐しているだけで、普通の人は住んでいない。以前は観光客にもわずかだけれど開かれていてダイビングもできたのだが、今はクローズされている。まさに今のミッドウェイは、野生に取りこまれる寸前の島、といった感じだ。

島が観光客に開かれていたころ、ミッドウェイでダイビングをしたことがある。ほとんどダイバーが入っていない海の中は、まさに野生そのものだった。ギンガメアジやロウニンアジがゴロゴロいて、ダイバーを怖れずにすぐ近くまで平気で近寄ってきたりした。

そして、やはりミッドウェイの海底には、大戦当時に沈んだ船が、いまだにゴロゴロと転がったままだった。バラバラになってしまった沈船の表面には大小さまざまなサンゴが生え、魚たちの恰好の棲み家となっていた。長い時間をかけて自然に取り込まれていった沈船の姿が、自然の強さ、たくましさを物語っていた。

ミッドウェイ環礁は、実は、主に日本や韓国、中国などからのプラスチックゴミが多く集まる、"太平洋ゴミベルト"と呼ばれる海域に位置している。そして、ここを繁殖地としているコアホウドリの親たちは、漂流するプラスチックゴミを海面で拾ってきてはエサとして子に与え、毎年もの凄い数の子が餓死するという悲惨な結果になってしまっているのだ。

自然のたくましさと、繊細さ。僕らはその両方を知って、母なる自然を、健康な母のまま守って、自分たちも彼女に守られて、生きていく必要があるのだろう。

コアホウドリのヒナの初飛行には失敗が付きもの。初飛行の時期になると、海に落ちてきた“ご馳走”をゲットしようと、無数のサメが環礁の周りに集まる。僕がダイビングしたのもちょうどその時期。サメがうようよと僕らに付きまとう中、ダイビング後、最後にボートに上がろうとする僕の脇を、タンクがボートから海に転げ落ちて沈んでいった。僕が海底に拾いに行かないわけにはいかなかった。僕について何尾ものサメが潜降してきた。タンクを拾って抱えて浮上する。サメたちもゾローっと僕を追う。あれは、いや~な体験だったなぁ。

高砂淳二プロフィ-ル

たかさご じゅんじ。自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。 ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。 海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体の繋がりや人とのかかわり合いなどをテーマに撮影活動を行っている。 著書は、月の光で現れる虹を捉えたハワイの写真集「night rainbow ~祝福の虹」(小学館)をはじめ、「虹の星」、「free」、「BLUE」、「life」(ともに小学館)、「ハワイの50の宝物」(二見書房)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(七賢出版)、「南の夢の海へ」(PIE BOOKS)など多数。 2011年5月には、ハワイの写真集「Children of the Rainbow」(小学館)が発売された。 「太平洋島サミット記念写真展"PACIFFIC ISLANDS"(コニカミノルタ・プラザ)」 、ザルツブルグ博物館、渋谷パルコ、阪急百貨店など、写真展多数開催。

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