自然写真家・高砂淳二が贈る「素晴らしき海の世界」 -第28回- 「ブルーの世界」
自然写真家・高砂淳二氏が贈る

素晴らしき海の世界

-第28回- ブルーの世界

BLUE

海といえば、ブルーである。地球を宇宙から見るとブルーに輝く美しい星だと言われるのは、やはり海が地球の3分の2を被っているからだろう。

僕はダイビングを始めて間もなく、ブルーで透明な、温かい海にポカーンと浮かんで、その浮遊感というか、体が水に溶け込んで、どこまでが体でどこまでが海なのかが分からなくなるような感覚がとても好きになった。マスクを着けないで、海にただ浮かんで水の中で目を開けると、ボヤッとゆらめくブルーに包み込まれている感じがして、なんだか自分の意識だけが海に漂っている感じがした。自分という生き物は、海の水を皮膚で囲って海から陸に上がってきた生き物なのだ、と妙に納得したのを憶えている。

そんな体験をしていた頃に、これは前にも書いたけれど、僕のブルーだけの写真を見て3歳ぐらいの女の子が、「お母さんのお腹の中!」とつぶやいたものだから、ブルーという色は、僕ら人間の生まれる前の記憶に繋がる色かもしれないし、海から進化してきた生き物としての証かもしれない。またそれは、地球の色でもあるということで、自分の海に対する想いが一気に形作られた瞬間でもあった。

ブルー。とても落ち着く色で気持ちのいい色。そして永遠のあこがれの色。傷ついたり、忙しさに疲れたり、自分自身を見失いそうになったとき、海に入ってブルーに包まれて、生まれたばかりの自分に戻れるのは、ある意味、ダイバーの特権なのだ。

ブルーという言葉のもつ雰囲気は、日本では何となく、"クールな感じ"とか、"清涼感"とか、そんないい意味あいをもったものだと思う。しかし英語圏の人たちには必ずしもそうとは限らないから注意が必要だ。英語で "I am in the blues." と言えば、「私は落ち込んでいる」といった意味になるらしい。

僕が一番始めに出した写真集は、『free』というものだった。何年か経って、『BLUE』という本も出した。『free』の時はよく人から、「これタダなの?」と冗談を言われた。『BLUE』のときも何度か、「ブルーな気分になっちゃう本?」と言われたりした。まあ、からかわれていただけなんだけど・・・。

高砂淳二プロフィ-ル

たかさご じゅんじ。自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。 ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。 海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体の繋がりや人とのかかわり合いなどをテーマに撮影活動を行っている。 著書は、月の光で現れる虹を捉えたハワイの写真集「night rainbow ~祝福の虹」(小学館)をはじめ、「虹の星」、「free」、「BLUE」、「life」(ともに小学館)、「ハワイの50の宝物」(二見書房)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(七賢出版)、「南の夢の海へ」(PIE BOOKS)など多数。 2011年5月には、ハワイの写真集「Children of the Rainbow」(小学館)が発売された。 「太平洋島サミット記念写真展"PACIFFIC ISLANDS"(コニカミノルタ・プラザ)」 、ザルツブルグ博物館、渋谷パルコ、阪急百貨店など、写真展多数開催。

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