磯は生き物のパラダイス 〜 第5回 大興奮!魚観察の季節がやってきた!

磯は生き物のパラダイス

-第5回- 大興奮!魚観察の季節がやってきた!

夏の喧騒がうそのように静かになった海辺。
でも、波の下はますます賑やか。
この春に生まれた魚たちがぐんぐん成長しているのです。
秋は、夏に負けず劣らず、魚観察の楽しめる季節なのです。

1. 潮だまりでの魚観察のコツ

自然観察は、自分の興味のあるものを自分で見つけるのが基本。
でも魚の観察では、チームプレーも上手に取り入れましょう。
2~3人が網(カマボコ形をお勧めします)を構えて並び、別の2~3人が横一列に網に向かって歩いていくだけでOK。
追い込むときの歩き方や、歩く速度を工夫してみてください。
ひとりで捕まえようとすると大変なボラ、メジナ、コトヒキ、カゴカキダイ、ギンユゴイなどが、意外に簡単に網に入ってきます。
小型の水槽に入れると、横からじっくり観察することができます。
これで盛り上がったところで、個人プレーに移りましょう。

2. いちばん簡単で難しい魚

潮だまりでいちばんよく採れる魚といったら、やはりハゼの仲間。
特にアゴハゼやドロメは子供でも簡単にすくえるほど個体数も多いハゼです。
ところが、このアゴハゼとドロメ、意外に区別が難しいのです。
成長すると、ドロメのほうは頭がかなり平たくなり、体は黒っぽくてヌルヌルした感じになるのでわかります。
しかし若い頃はアゴハゼもドロメも体の模様は似ているし、胸ビレの上部の軟骨が分かれていること、尾ビレに黒いスポットがあることもそっくり。
でもよく観察すると、ドロメには胸ビレに模様がなく、尾ビレに白い縁どりがあるのがわかります。
これをモノにしたら、磯遊びでけっこう威張れるかも。

3. 稚魚は隠れんぼ上手

黒潮の影響を受ける海岸の磯では、やはり目の覚めるようなコバルトブルーに輝くソラスズメダイはスターのひとり。
しかし、彼らの隠れる技術は侮れません。
あれだけ目立つ色なのに、あっという間に見えなくなってしまいます。 でも、そういうときは静かに待ちましょう。
ほどなく、石の下や割れめから一匹、また一匹と、姿を現してきます。 この“待ち”が成功の秘訣。 柄の短い網を2本使い、はさみうちにするとよいでしょう。 でも彼らは網に入った瞬間に、青黒いくすんだ色になってしまいます。 この変化もおもしろいですね。

4. 流れ藻の下は大賑わい

この時期の磯遊びでは、ちぎれたホンダワラ類をはじめとした海藻類やゴミなどが集まった“流れ藻”にも注意してみてください。
できるなら、スノーケリングなどで流れ藻の下をそっと覗いて見ましょう。
ホンダワラに絡みつくようにしているハナオコゼや、まるで木の葉のように漂っているマツダイを発見できたら感動モノです。
縞模様が美しいイシダイの幼魚や、ヨウジウオ、ニジギンポなど、いろいろな魚も隠れています。
柄の長い網を下に深く差し入れ、流れ藻ごとすくってみましょう。

5. この子誰の子?魚のびっくり親子

魚の中には、成長につれて色彩や模様がびっくりするほど変化するものが多く知られています。 南の海に住む魚では、サザナミヤッコ、モンツキハギなどが有名。
しかし、本州の磯にも、おもしろい魚がいます。ニシキベラもそのひとり。 成魚は青や緑に朱色の模様をもつ派手な魚ですが、幼魚は赤みのある線が入るものの体色は地味。
逆にミナミハコフグは、成魚は青みがかった暗褐色ですが、幼魚は鮮やかな黄色に黒の斑点をもっています。
幼魚を見て、成魚をすぐに思い浮かべることができたら、魚観察も一段と楽しくなるでしょう。

6. シメツカイユーって何?

チョウチョウウオやヤッコの仲間など、南の暖かい海で生まれた魚の卵や稚魚は黒潮にのって九州、四国、本州の沿岸に流れ着き、成長して私たちの目を楽しませてくれます。
しかし、残念なことに、それは夏のうちだけ。
秋が深まって水温が15度を下回るようになると、多くの海域ではやがて死んでしまいます。
このように、海流に乗ってきた稚魚が毎年死滅を繰り返す現象を死滅回遊(魚の分布が、結局は拡大できないことに着目した場合は無効分散)と呼びます。
なんだか、もったいないですね。
こうした南方の魚は、太平洋岸では房総半島、日本海側では新潟県あたりまで見ることができます。

7. 磯遊びは環境観察にも役立つ

一度豊かな海で磯遊びをした経験をもつ人は、海の環境にとても敏感になります。
魚や貝の姿が見えなくなれば誰でもわかりますが、少し経験を積むとその前の段階で生き物の異変に気付くのです。
近年、カジメやホンダワラの茂る海中林が死滅する“磯焼け”が多くの沿海岸で見られるようになっています。
この初期段階でも、見られる魚の種類が偏ったり、ウニが変に目立つようになったり、海藻に元気がなくなったり、岩の表面が白くザラついたり泥っぽくなっているように感じられます。
磯遊びは、自然を見る力を養ってくれるのです。

筆者プロフィ-ル

三宅 直人
1954年岡山県生まれ。アクアリウム雑誌の編集者を経てフリーに。
『BE-PAL』誌に「図鑑の庭」、『アクアライフ』誌に「アクアリウム歴史読本」などを執筆。
『緑・花試験集中講義』などの著書がある。

イラスト

友永 たろ(ともなが たろ)
イラストレーター。主に キャラクター製作、児童書イラストを描く。
魚や水生生物が大好きで、独特のタッチで描かれる魚たちのイラストはいろいろなところで目にかかることも多い。
最近ではFlashでムービー作成にはまっている。
ホームページ「ぼくのすいぞくかん(http://boku-sui.net)でイラスト&Flashムービー公開中。

 

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