PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ-第10回- ガス・マネージメント

PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ

-第10回- ガス・マネージメント

「ガス・マネージメント」=「ガスを管理する」とはどういうことなのでしょうか?
これには大きく「ガスの"量"を管理する」ことと「ガスの"種類"を管理する」ことの2つに分けることができます。

ガスの量を管理する

ガスの量を管理するということは、ガス切れにならないよう管理するということであり、以下に基本的な考え方を基にした例を挙げてみましょう。

◆レクリエーショナル・ダイビングの場合:

例えば、200barのシングル・シリンダーでダイビングをスタートし、少なくとも50bar残してダイビングを終了すると考えた場合、潜降開始から浮上終了まで使用できるのは200-50で150bar。
水深にもよりますが、浮上と安全停止に必要な量を仮に20barとすると、潜降開始から浮上開始までに使用できる量は150-20で130bar。
エントリーした場所にエキジットするとしたら、水中で使用できるこの130barの半分を使用した時点でダイビングを折り返すことになります。つまり130barの半分の65bar消費した段階で戻り始めることになり、具体的には残圧計が135bar(200-65)を指した時点になります。
ちなみに、この戻り始める際の残圧を「ターン・プレッシャー」といい、戻り始める地点を「ターン・ポイント」といいます。
実際には流れやその他の環境により保守性を加味しますが、無減圧/オープンウォーター環境でのレクリエーショナル・ダイビングでは安全マージンとして50barは残すよう管理します。

◆テクニカル・ダイビングの場合:

よりタフな環境に潜るテクニカル・ダイビングでのガス量の管理は少々複雑になります。
まず、基本的な安全マージンは全体量の1/3とされており、これを「1/3ルール」と呼んでいます。すなわち、レクリエーショナルでは50bar残してダイビングを終了するところ、テクニカルでは1/3、200barで始めたとすると70barほど残して終了するということになるわけですが、更に以下の要素を加えてより保守的に管理します:

・チーム間でのシリンダー・サイズの違い

・バックマウント(マニホールドでつながれている)又はサイドマウント

・SAC(ガス消費量)、シリンダーサイズの違いによるガスのマッチング

・オーバーヘッド環境又はオープンウォーター環境

・ボトム及び減圧でのSAC

・減圧スケジュール

・流れその他の環境による保守性

・その他

各項目の詳細な説明は割愛しますが、どれも重要であり、テクニカル・ダイバーはこれらを完全に理解してガス量の管理に対する計画を立てなければなりません。

ガスの種類を管理する

これは「自分が今呼吸しているガスは何か?」を理解していることであり、結果として減圧症、酸素中毒、不活性ガスによる昏睡を防ぎます。このための必要な情報として、

・ガスの種類(空気、EANx、トライミックス、純酸素)と各ガスの割合

・PO2(酸素分圧)

・END(窒素に換算した場合の空気と同等の水深)※主にトライミックス・ダイビングの場合

オープン・サーキットの場合、深度が変化してもタンクを変えない限りガスの種類は変わらないのでコントロールはし易いといえますが、急な深度変化によるPO2の増加には十分注意が必要でしょう。

CCRでのガス・マネージメント

通常オープン・サーキットに比べて少量のガスしか持ち込まないCCRダイバーにとって、ガス量の管理として重要なことは自分の酸素代謝量の把握とベイルアウト(オープン・サーキットに交換しての浮上)の計画です。実行するダイビングに対して適切な量を装備しなければなりません。
また呼気を循環させるので「現在呼吸しているガスの種類」が常に変化します。故にPO2モニターを「毎分」確認することが指導されますが、これを怠ると最も危険なハイポキシア(低酸素症)のリスクが極めて上がってしまいます。リブリーザーを使用するダイバーはガスの量も種類もオープン・サーキットでのダイビング以上に徹底的に管理することが必要でしょう。

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新しくなったPADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースの中にも「エア・マネージメント」として生徒がガスの管理を理解し実行することが必須のスキルに加わりました。ダイビング中どの段階でも自分の残圧を把握し、適切なターンプレッシャーで折り返しダイビングを終了するようにガスを管理することは、オープン・ウォーター・ダイバーもベテランのテクニカル・ダイバーも同じです。

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