PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ-第13回- テック・サイドマウント -3-

PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ

-第13回- テック・サイドマウント -3-

テック・サイドマウントに関する最後のテーマは、テック・サイドマウントの「キモ(重要な点)」です。もちろん、今回取り上げることができない部分は重要ではない、という意味ではなく、テクニカル・ダイビングをサイドマウント・コンフィグレーションで楽しむためには特に注意してほしい、別な言い方をすれば、当たり前にしていただきたい重要な部分をリストアップしてみたいと思います。

サイドマウントの基本は「トリム」

再三お話ししているように「トリム」、即ち水平姿勢を楽に維持することは、サイドマウント・ダイビングのキモ中のキモです。必要なシリンダーを装着した状態で「楽に」トリムが維持できるようにします。そのために考慮すべきいくつかのポイントがあります。

まずはシリンダー。シリンダーの素材、大きさ(長さ/太さ)が大きく影響を及ぼすことは容易に理解できるでしょう。特に素材に関しては、最も軽いアルミ製から最も重いメタリコン塗装のスチール・シリンダーまで、異なる素材のシリンダーを同じ位置に固定すると明らかにバランスが異なることがわかると思います。アルミ製シリンダーの場合、ダイビングの後半にシリンダー下部が浮いてくることへの対応をする必要もあるでしょう。シリンダーを水平に保ために特に重要なことは、バルブ部分をなるべくダイバーの体近くに固定するよう配慮することです。体から少しでも離れるとバルブ部分が下がってしまい、シリンダー全体がブラブラして水平にならず、トリムの維持が難しくなります。4本すべてのシリンダーがダイビングの最初から終了するまで水平のまま維持する努力が必要です。

次にウエイティング。どの重さ、どの形状のウエイトをどの位置に装着するのか、慎重に考慮します。これにはもちろん、シリンダーのサイズ/素材、装着位置が大きく影響することは言うまでもありません。これも基本ですが、いくらバランスをとるためとはいえ、過剰なオーバー・ウエイトになってはならず、もしウエイトでバランスをとるにはすでに重すぎる場合は、シリンダーの位置を変えることでバランスをとる工夫がより重要になります。

トリムが維持できるシリンダー及びウエイトの位置が確定するまでには何回ものトライが必要な場合があります。根気よく最適なポジションを見つけるまで試してみなければなりません。

基本的なテクニカル・ダイビングのセオリーに沿うこと:

例えば、シリンダー/バルブのみならず、装備しているすべてのアクセサリー器材にもストレスなくアクセスでき、使用できなければなりません(ハイスピード・マナー)。また、いくら素早くアクセスできても、そのためにブラブラさせたり、潜在的に絡まるような位置では本末転倒です(ロードラッグ・マナー)。ハイスピード/ロードラッグを両立させるためには、試行錯誤を繰り返し、また練習を積み重ねることで自信を持って、楽に器材のハンドリングができるようにする必要があります。

シリンダーの装着(脱)に慣れること:

テクニカル、レクリエーショナルを問わず、サイドマウント・ダイバーは水に入ってからすべてのシリンダーを装着することが大半です。仮に4本のシリンダーを使用する場合、スムーズに着脱ができないと水面でのストレスが増し、海況次第では危険な状況にもなりかねません。残念ながら、シリンダーの着脱をスムーズにするには練習しかありません。クリップ類のメンテナンスも大事ですが、手の感覚だけでストレスなく装着できるようになるまで練習しましょう。

現実的な問題への対応 - メタリコン塗装のスチール・シリンダー:

日本国内のダイビング・サービスの多くは、メタリコン塗装された10Lのスチール・シリンダーにKバルブが付いたタンクを提供しています。諸般の都合により、このタンクを使用せざるをえない場合、上手くハンドリングするにはアルミ製シリンダーとは異なる工夫が必要になるでしょう。

●重さ/バランスに対する工夫
メタリコン塗装のシリンダーは、ガスが100barを切ってもまだ著しいマイナス浮力のままです。メインのシリンダーとして(2本)これを使用する場合、ドライスーツを着ていてもウエイトが必要ないことさえあります。故にバランス良くトリムを維持するためには、ハーネスに固定する位置が非常に重要です。

しかしながら、一度ハーネスとの固定位置が決まれば、水中での安定感が非常に増すというダイバーもいます。アルミ製のシリンダーと異なり、ガスが減ってきてもシリンダーが平行になるよう装着位置を変えることもなく、ステージ/減圧シリンダーとして通常使用する6Lのアルミ製シリンダーの下部が浮き上がってきても、これを押さえてくれる役割もあるからです。

●通常のKバルブを使用する際の工夫
まずはDINフィッティングと異なりヨーク部分が出っ張っていることで、バルブ部分の固定方法がDINの場合と異なるかもしれません。伸縮性のある素材で固定している場合、より伸びた方が装着しやすいのですが、伸びすぎることでバルブ部分が下がってしまい、シリンダーがダイバーの体と平行位置になりにくくなってしまいます。また、右側(ロングホース側)のハンドホイールが内側に位置するため、ハンドホイールが外側にあるバルブのシリンダーと同じ位置にすると、バルブの開閉が極端にしづらくなる場合があります。そうならないようにするには、シリンダー下部のクリップ位置を含めた微妙な位置調整が必要でしょう。

結局のところ、テック・サイドマウントのキモは、「自分に合う器材コンフィグレーションの確立」と、「器材のハンドリングが楽にできるようになるまで練習すること」です。もっとも、これらはテック・サイドマウントに限らず、すべてのダイビングで重要なことではありますが。

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