PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ-第14回- 水深40m以浅のTECダイビング-1-

PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ

-第14回- 水深40m以浅の減圧テクニカル・ダイビング-1-

テクニカル・ダイビングのトレーニングは、教育機関を問わず、それぞれの環境に対応した必要なスキル/知識を習得して経験を積むという内容になっています。例えばPADI TecRec コースの場合、テック40 コースは40mまで、テック45コースは45mまで、テック50コースは50mまでの水深に潜ることを想定しています。オーバーヘッド環境では、カバーン → イントロダクトリー・ケイブ → フル・ケイブ → テクニカル・ケイブと進むにつれて、より高度なテクニックを身につけなければなりません。

減圧ダイビングのトレーニングを終了したダイバーの中には、自分が取得した資格の深度に「行かなければならない」かのように深度にこだわる人を見かけることがあります。確かに、それぞれの深度まで潜れる資格を取得しているのですが、より深く潜れる資格を持っているということは、「浅い深度であればより安全に潜るためのスキルと知識と経験がある」ということでもあり、40m以浅というテクニカル・ダイビングとしては「浅い水深」で減圧ダイビングを行なう場合は、より深く潜れる資格を持っているダイバーの方がより柔軟で効率的なスキル/知識を駆使することで、「より安全」に潜ることができると言えます。

特に、水中で動生物の撮影を主目的とするダイバーにとっては、被写体を探す時間及び/又は見つけた後にゆっくりと撮影する時間は十分に欲しいもの。超が付くほどレアな生物を40m以深に追いたいこともあるとは思いますが、レクリエーショナル・ダイビングでは正に「タッチ・アンド・ゴー」のプロファイルでしか滞在できない、具体的には無減圧でガス切れにならないためにはほんの数分しか滞在できない水深 30~40m付近に20分以上滞在できるとしたら、しかもテクニカル・ダイビングのノウハウを駆使して安全に余裕を持って被写体に向き合えるとしたら、非常に価値のあるダイビングを行なうことができるのではないでしょうか。

地形やレックを楽しみたいダイバーにも同じことが言えるでしょう。最近ご無沙汰していますが、筆者の大好きなダイビング・ポイントに熱海の沈船ポイントがあります。メインの潜降ラインは水深約20m付近の船首につながれており、ほぼまっ二つに折れた状態で沈んでいる船は水底が水深30~35mの砂地の上にあります。レクリエーショナル・ダイバーがゆっくり安全に潜ろうとすると、船首側の半分を回るだけで浮上の準備をしなければならないことが多いでしょう。もちろん船首部分だけでも十分に楽しめますが、無減圧ダイビングではじっくり観察できない最も船尾側の部分は、ダイバーがあまり来ないためかソフトコーラルも豊富で魚影も濃く、テクニカル・ダイバーであれば十分に余裕をもってレック・ダイビングを楽しむことができるでしょう。

実のところ、筆者が考えるテクニカル・ダイビングのノウハウを使用して楽しむことができる最も現実的なダイビングのプロファイルは、水深 30m 前後/ボトムタイム30分前後(合計ランタイムは45~60分前後)のダイビングであり、現状レクリエーショナル・ダイビングで楽しまれているほとんどのポイントで活用することができ、ほとんどのコンパクトデジカメの水中ハウジングやその他器材の耐圧水深の範囲内なので安心して使用でき、使用するガスやシリンダーも比較的入手しやすく、まだまだ生物が豊富にいる深度でもあります。 言い換えれば「40m以浅でテクニカル・ダイビングを楽しまない手はない!」と切に思うわけです。

ここで今一度PADI TecRecのメインのコースであるテック40、テック45、テック50の各資格は、何を使用してどこまでのダイビングができるのかをおさらいしてみましょう。

テック40:

・最大水深:40m

・ボトムガスの本数:2本(Wタンク又はサイドマウントで2本)

・ボトムガスの種類:空気又はナイトロックス

・減圧ガスの本数:1本

・減圧ガスの種類:EANx50までのナイトロックス

・減圧の制限:減圧の合計時間が10分まで

テック45:

・最大水深:45m

・ボトムガスの本数:2本(Wタンク又はサイドマウントで2本)

・ボトムガスの種類:空気又はナイトロックス

・減圧ガスの本数:1本

・減圧ガスの種類:純酸素又はナイトロックス

・減圧の制限:なし

テック50:

・最大水深:50m

・ボトムガスの本数:2本(Wタンク又はサイドマウントで2本)

・ボトムガスの種類:空気又はナイトロックス

・減圧ガスの本数:2本

・減圧ガスの種類:純酸素とナイトロックス

・減圧の制限:なし

次回は上記の各レベルのダイバーが同じダイビング・プロファイルの計画を立てた際、どのような違いがあるのかについて具体的にみてみたいと思います。

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