PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ-第6回- サイドマウントでのテック・ダイビング

PADI TecRecでダイビングの新たなステージへ

-第6回- サイドマウントでのテック・ダイビング

最近「サイドマウント」という言葉をオープンウォーターの環境でもよく耳にするようになってきました。周知の通り、サイドマウント・コンフィグレーションは1970~80年代に一部のケーブ・ダイバーにより考案され、ケーブ・システムの中で非常に狭いエリアをタンクを外して通過しやすくするためのものでした。最初は手作りだった器材(主にBCD/ハーネス)も、今はオーガナイズされたものがいくつものメーカーから手に入るようになってきました。

ケーブ・ダイバーのためのものであったサイドマウント・コンフィグレーションがオープンウォーターの世界でも取り入れられ始めたのは比較的最近で、2000年代に入ってからだと思われます。それ以前にもオープンウォーター環境に沈むレック(沈船など)でのペネトレーションを楽しみたいダイバーの中にはサイドマウントを好む人もいました。筆者もまだバックマウントのダブル・シリンダーで潜っていた90年代後半に、熱海でサイドマウントの米軍ダイバーと一緒に潜ったことがあります。メタリコン塗装のスチール・シリンダーを2本脇に抱えて潜る姿は、まだまだ珍しい光景でした。

ここにきて、サイドマウントでのテック・ダイバーが増えているようです。ケーブでもディープでも、です。もちろん地域により、インストラクターのポリシーにより、バックマウントの優位性を主張するベテラン・ダイバーも大勢いますが、今までバックマウントのダブル・シリンダーで潜っていたダイバーがサイドマウントに変えたり、最初からサイドマウントでテクニカル・ダイビングを始める人も増えています。何故でしょうか?

まずは重さの問題。基本的にテック・ダイビングの装備は重いです。特に重いのはメインのシリンダー2本であり、この運搬、装着等のストレスは誰もが軽減したいと思います。サイドマウントの場合、数は同じでも1本ずつ持ち運べるので、重さのストレスは劇的に小さくなります。世界的に見た場合、ディープ・ダイビングのポイントがほぼボートを使用するので、この点は明白です。

次にコントロールのし易さ。バルブの開閉が非常にしずらいバックマウントに対し、サイドマウントの場合はすべてのバルブが脇から胸の辺りにあるので、誰でも手が届きます。また視界にも入り易いので、バルブ回りのリークも発見しやすく、安全性も高いと言えます。

また、入手し易いことも利点の1つでしょう。マニホールドの付いたダブル・シリンダーはどこのダイビング・サービスでも準備されているわけではなく、特に日本国内では数えるほどしかありません。シングル・シリンダーであれば世界中どこのダイビング・サービスでもレンタルが置かれています。もちろん、テクニカル・ダイビングを行なうためには他の種類のガス、大きさの異なるシリンダー、できればDINバルブも必要ですが、可能性が広がることに間違いはないでしょう。

ただし、すべてのダイバー/ダイビング環境にとってサイドマウントが快適だとは限りません。両サイドに2本装着した状態で歩いたりエントリー・エキジットを行なうのはバックマウントのダブル・シリンダーの方が楽な場合が多いでしょう。特にサーフゾーンへのエントリー・エキジットは、体力のあるダイバーであれば背中に背負っている方が簡単かもしれません。

レクリエーショナル・ダイビングでもサイドマウントが普及しつつあります。指導団体によってはオープン・ウォーター・ダイバー・コースからサイドマウントで実施することができます。ただし、気をつけなければいけないのは、サイドマウント・ダイビングは単にシリンダーを脇にぶら下げているダイビングではありません。器材コンフィグレーションは非常に重要で、正しく調整されなければ苦痛の方が多くなってしまいます。その辺りの詳細については改めてご説明することにしましょう。

ページトップ