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北の巨獣・海馬(トド)が来る 幌武意の海
海氷に追われ、南下してくる神秘の海獣・トド。
人間が間近でトドを観察できる数少ない聖域といえるのが、積丹半島の海。
水中で、音もなく近づいてくるトドの気高いまでの存在感。
好奇心たっぷりの彼らの瞳にのぞかれたら、寒さなんて一瞬で吹き飛んでしまいます。
積丹ブルーの海は海獣ランド
野生のトドがやってくる

積丹トド 札幌から北西におよそ90キロ。
日本海に突き出た積丹半島の海岸線は、80〜100メートルの高さはある断崖絶壁。ここは道南の秘境。
強い風と荒波が刻んだ奇岩が澄み切ったブルーの海からそそり立ち、変化に富んだ景観をなしています。
海岸線が複雑に入り組むこの地形は、それゆえ風をよける入江をところどころに隠し持っています。
そんな入江の数々が絶好のダイビング・ポイントになっているのです。
そして、積丹半島が雪化粧を始める頃、ここに野生のトドが来遊して来るのです。
トドは鰭脚類アシカ科トド属トドに分類されます。
アシカ科のなかでは最大級の大きさで、オスの成獣で体長約3メートル、体重は1トンを超えます。
世界中に分布しているアシカの仲間ですが、トドとなると北海道からアリューシャン列島、アラスカ、カリフォルニアまでと北太平洋辺縁にしか生息していません。
日本で野生のトドが見られるのは、おそらく北海道だけでしょう。
マッカ岬にあらわれる迫力の巨獣
フル装備で真冬の海へ

積丹トド 毎年12月中旬から翌年の春5月頃までトドがやってくる積丹ですが、そのピークは1月頃。
トド・ウォッチング・ダイブの拠点となるのが幌武意(ほろむい)。 アイヌ語で「静かな入江」を意味する「ポロモイ」からきた地名です。
沖合いでは暖流と寒流がぶつかり、豊かな天然の良港として古くから栄えたこのような港が、積丹半島にはいくつかあります。
マイナス浮力でありトドは、泳いでいないと浮いていることができません。
そのため、回遊中のトドは、沿岸近くの一定のコースをとり、休息のための上陸場を持っています。
荒天が続けばトドは沖合いに行ってしまうので100%の遭遇は難しいのですが、遭遇する確立が最も高い(1月で約90%、2月で80%)のが、幌武意の港を出てすぐ右手に見える「マッカ岬」周辺の海域。
岬の突端、二股に分かれて海から突き出る巨岩はトドにとって安全な場所のようです。
岩の根元のわずかな平場を利用して、ここで休みます。
まずは上陸中のトドを船上からじっくり観察してみたいものです。
ちなみに外気温はマイナス。
船上では手足や耳が特に冷えるので、防寒対策をお忘れないように。
クマから進化したという茶色い巨体が、時には14〜15頭あまり群れをなし、半日あまりも寝て過ごしている姿はあどけない犬のようでもあります。
10〜15メートルほどまでボートを寄せますが、近づきすぎると「ガォーッ」っと威嚇されることもしばしば。
陸上では警戒心の強い彼らも、水中ではまるで別の生き物のように好奇心を丸出しにします。
寒さも忘れるトドとの出会い
「観察される」おもしろさ

ガイドがとるその日の最適なコースにしたがって、ダイバーは水中でトドが来るのを待ちます。
トドが移動する約15〜25メートルの中層域。
午前中はさらに遭遇する確立が高まるといいます。
水温は11〜2月で3〜7度、透明度は20メートル前後。
トドが来ると魚の動きが素早くなるといいます。
しかし、言い知れぬ気配で水域にいるとわかっていても、どこから現れるかはなかなか予測がつきません。
背後からか横からなのか、とにかく目の前に現れるのを待つしかありません。
トドに遭遇した人は皆、トドがわずか数メートルまで近づいてくることに驚くと言います。
水中の彼らはとても好奇心が強く、首の向きを変え、黒くて大きな目をよく動かし、ダイバーの顔を覗き込んだりして、じっくり観察するといいます。
スーッと遠ざかると思ったら、また戻ってきてダイバーを喜ばせるトド。
ダイバーのまわりをくるくると宙返りし、しなやかな泳ぎを見せてくれます。
さらに運がよければ、この時期に産卵のためにやってくる大きなミズダコを捕食するトドの姿も観察できるかもしれません。
トドの生態をとらえた映像はまだ少なく、生態に関する知識のニーズは高くなっています。
貴重な野生動物を間近で観察できる「トドウォッチング・ダイブツアー」は、トドと人間の共存できる環境について考えていく大切な機会でもあります。
少しでも多くのダイバーが、絶滅の危機にあるトドに関心を寄せてくれれば、トドの運命もきっと変わっていくことでしょう。
積丹トド
どこからともなく現れるトドは、はなかなか予測がつきません。とにかく目の前に現れるのを待つしかありません。
積丹トド
水中の彼らはとても好奇心が強く、首の向きを変え、黒くて大きな目をよく動かし、ダイバーのことをじっくり観察します。
積丹トド
スーッと遠ざかると思ったら、また戻ってきてダイバーを喜ばせるトド。 ダイバーのまわりをくるくると宙返りし、しなやかな泳ぎを見せてくれます。
トドを待ちながら豊かな生物と海中景観も楽しめる
積丹トド 幌武意から行く積丹のポイントは、どこもバラエティに富む生物相が魅力。
11月〜1月はアツモリウオやホテイウオが産卵を迎える季節。トドを待ちながら、これらの産卵シーンを見ることもできそうです。 ダンゴウオもこの地のアイドル的存在です。
秋口から柱になっているホッケが見られ、さらにアイナメ、グジメ、カレイなど、おいしい魚たちも集まります。
水中景観も素晴らしいものがあります。
厚い溶岩がゆっくりと固まってできた柱状節理が斜めに走る岩に囲まれたチャネルを抜け、透明なブルーグリーンの海に奇岩がそびえます。
すっくと立つ女性の姿のような女郎子(じょろっこ)岩は、トドの目撃率も高く、根にはトンネルがあるポイント。
その周囲の浜では、上陸して休むゴマフアザラシを見ることもあります。
沖合いではオットセイ、まれにシャチ、夏場にはイルカやクジラが来るなど、年間を通じて大型の海棲哺乳類が豊富な積丹周辺の海は、まさに海獣ランドなのです。
日本の渚100選に選ばれている島武意海岸も夏場は人気のポイントで、幌武意からはボートで約10分ほど。
北海道で唯一の海中公園に指定されているエリアです。
ダイビングの後におススメなのが、神威岬に沈む夕陽を眺めながら浸かる露天風呂「岬の湯しゃこたん」。
体が温まったら、夜は北の海の幸に舌鼓。
生態から地形まで、さまざまなダイバーを魅了する積丹・幌武意の海。
この北の海の豊かな自然に、ただただ感謝するばかりです。
トドウォッチング・ダイブツアーを動画でもお楽しみください!
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