「グレートバリアリーフ」・・・聞いただけでワクワクする名前だ。なんといっても、日本列島がすっぽり入ってしまうほどの、世界最大のサンゴ礁地帯なのだ。僕ら日本人からしたら想像しがたいほど広大な、とてつもなく大きく美しいサンゴの海が広がっているのである。
そんな大きな海は、クルーズ船でダイビングしまくるのが、やはり一番いい。その大きなサンゴ礁の中でも、特に有名なポイントがある。「コッドホール」だ。"コッド"とはハタのことで、何匹かのカスリハタが暮らす、いわばハタの巣窟。
コッドの大きさは半端ではない。長さは1メートルを優に超えていて、しかもその胴回りの太さがもの凄いのだ。あちこち凹んだり凸っ張ったりした厳つい顔と相まって、まるで「こんなになるまで永く生きてしまってごめんなさい。」と言わんばかり。やはり巨大なオーストラリア大陸の巨大サンゴ礁、大きさのスケールがずれている?
そんな"怪獣"たちがなんと餌づけされていて、ボートから飛び込むと、ウヨウヨとダイバーに平気で近寄って来るのである。グロテスク以外のなにものでもないのだが、それがまた嬉しいのだ。
ここに棲んでいる人気者は、もちろんコッドだけではない。コッド同様の巨大ナポレオンも、文字通り、大きな顔をして暮らしている。このナポレオンもそうだけれど、グレートバリアリーフの魚たちはどれも、とにかく逃げない。大らかと言ったほうがいいだろうか。
やっぱり、大きなオーストラリアには、大らか(大ざっぱ?)なオージーが育ち、大きなサンゴ礁や、大らかな魚が育まれるのかもしれない。
僕が初めてサンゴの海に触れたのが、実はこのグレートバリアリーフ。
初めて行った海外できれいな海に大感動し、絵葉書を買って、「たまげだ! サンゴの海で熱帯魚が泳いでる!!」と書きなぐって、東北の実家に送ってしまったほどだ(後にも先にも絵葉書を書いたのはこれっきり)。
この感動がきっかけで、僕はダイビングを始め、水中カメラマンになることを決意し、海の世界へと入っていったのである。思い出の海だ。
高砂淳二プロフィ-ル
たかさご じゅんじ。自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。 ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。 海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体の繋がりや人とのかかわり合いなどをテーマに撮影活動を行っている。 著書は、月の光で現れる虹を捉えたハワイの写真集「night rainbow ~祝福の虹」(小学館)をはじめ、「虹の星」、「free」、「BLUE」、「life」(ともに小学館)、「ハワイの50の宝物」(二見書房)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(七賢出版)、「南の夢の海へ」(PIE BOOKS)など多数。 2011年5月には、ハワイの写真集「Children of the Rainbow」(小学館)が発売された。 「太平洋島サミット記念写真展"PACIFFIC ISLANDS"(コニカミノルタ・プラザ)」 、ザルツブルグ博物館、渋谷パルコ、阪急百貨店など、写真展多数開催。
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